異文化の地で暮らす際の健康問題を解決するには
文化的背景の異なる患者さんへの看護
人々の健康を扱う国際保健の学問領域の中で、文化的背景が異なる患者さんへの看護は「異文化看護」と呼ばれます。その一環として「在日外国人の母親の保健医療問題」をテーマにした研究が、三重県の外国人コミュニティを対象に行われました。
調査の結果、日本語力の有無にかかわらず、自国の医療システムが日本のものと異なるために、日本での健康的な生活に困難が生じていることがわかりました。例えば、自国では救急車は自己負担なので、夜中に子どもが体調不良になっても救急車を呼べず、朝を待って病院に連れて行った、という体験談などが聞かれました。
ここから在日外国人のヘルスリテラシー研究が始まりました。ヘルスリテラシーとは、自分の健康を守るために必要な基本的な能力のことです。
広い視野を持った看護師に
近年では在日外国人の増加にともない、さまざまな外国人への支援活動が行われています。例えば、自治体発行の情報誌の漢字にルビ(ふりがな)がふられたり、自治体窓口に通訳が配置されたり、妊婦検診の際に通訳が派遣されたりと、多言語化が進みました。
医療現場における最初の窓口となるのは、病院や診療所です。ここで日本語が困難な在日外国人の患者さんに対して、病名を母国語でメモして渡すだけでも大きな助けになります。こうしたことに気づける広い視野を持った看護師が求められています。
海外における日本人留学生の健康問題
新たなプロジェクトとして、海外に一定期間滞在する日本人留学生の健康問題についての調査が始まろうとしています。近年、特に女子学生が海外で直面する健康問題として、性感染症や望まない妊娠、デートDVなどがあります。これらの問題の発生時期と留学時期の相関性について明らかにしようとしています。悲しい状況にならないためには、自分の体を大切にするという基本的な考え方が大切です。日本でも、子どもの頃からさらに踏み込んだ性教育を行っていく意義は大きいのです。
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先生情報 / 大学情報
同志社女子大学 看護学部 看護学科 准教授 橋本 秀実 先生
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