子どもの体と心の両面から支援する養護教諭
「しんどい」とやって来る子どもたちに
養護教諭とは、あなたもよく知っている保健室の先生です。保健室には多くの子どもたちが「先生、しんどい」と言ってやって来ます。熱があるような時はおでこに手を当ててもらったり、腹痛の時はおなかをさすってもらったりした経験が、あなたにもあるかもしれません。養護教諭はけがや病気の手当てと同時に、「触れる・なでる・さする」といったスキンシップによって、不安な感情を取り除いたり、痛みを和らげたりします。そして、保健室がほっとリラックスできる空間になるよう環境づくりも行います。このように養護教諭は体と心の両面から、子どもたちの健康をサポートしているのです。
一人ひとりの心に寄り添う
厚生労働省の調査によると、高校生などの約85%が悩みや不安があり、さまざまなストレスを感じています。そんな心のしんどさを抱えた子どもたちも、保健室にやって来ます。養護教諭の行うストレスマネジメントには、「言いたいことを伝える」「考え方を変える」「相談相手を持つ」「逃げる・避ける」「リラックス法を行う」といった5つの要素があります。養護教諭は子どもの話を聞きながら、ストレスの原因が何か、これからどう対処していくかを一緒に考えていきます。時代の変化とともに、一人ひとりの心に寄り添うケアが養護教諭に求められる重要な役割になっています。
求められる幅広い視点と役割
リラックス法として、ハーバード大学出身の教授考案による呼吸法の研究が進められています。呼吸法を行った子どもの自律神経の変化を計測したところ、副交感神経系の機能が高まり、リラックス効果につながることが実証され、保健室で実践されたり、教室で指導されたりしています。
また、子どもの虐待や貧困といった課題に対しては、学校・家庭・地域が連携して「チーム学校」として取り組む必要があります。教育学、医学、看護学、心理学、福祉学といった幅広い視点を有する養護教諭は、「チーム学校」のコーディネーター役としても期待されているのです。
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先生情報 / 大学情報
京都女子大学 発達教育学部 教育学科 教授 大川 尚子 先生
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