「できない」を「できる」に変える作業療法

生活を支える作業療法
作業療法は、日常の食事や着替え、入浴などから、趣味活動や仕事、社会参加まで、「動作」について幅広く支援する医療分野です。リハビリテーションというと筋力トレーニングをイメージするかもしれませんが、作業療法では「その人らしい生活」を築くために、一人一人の好きなことや得意なことを生かした方法を考えます。例えば、障害を負った人が料理を再開するための工夫や、高齢者が趣味を続けられるような環境調整など、生活の質を高めるための支援を行います。障害があっても自分らしく生きるための「作業」を大切にする視点が作業療法の特徴です。
移動の自由を支える運転支援
日常生活の質を高める上で、移動の自由は非常に重要です。特に地方では、自動車の運転ができるかどうかがその人の活動範囲や社会参加に大きく影響します。脳卒中などで障害を負った人や高齢者が安全に運転できるかを評価して、支援することも作業療法の重要な役割です。作業療法士はドライビングシミュレーターや特殊な装置を使って、運転に必要な注意機能や空間認知能力、反応速度などを評価します。高齢になるほど自分の運転に自信を持つ傾向がありますが、実際には加齢とともにさまざまな能力が低下するため、客観的な評価と適切な支援が重要です。
未来につながる新しい支援
作業療法の領域では常に新しい支援方法が研究されています。高齢ドライバーの安全運転では、ドライブレコーダーを活用した振り返り学習や、AI搭載ロボットによる運転アドバイスなどの研究が進んでいます。現在、「サポカー限定免許」や「地域限定免許」などの制度も検討されており、高齢者が条件付きで運転を続ける可能性が広がっています。パラスポーツを通じた社会参加支援や、eスポーツを活用した重度障害者の社会とのつながり創出など、テクノロジーと作業療法を組み合わせた新しい取り組みも増えています。これらの支援により、誰もが自分らしく生活できる社会の実現が期待されています。
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