3Dプリンタが、モノづくりの「産業革命」を起こす
3次元データがあれば、試作品も、製品もOK!
3Dプリンタの登場で、いまモノづくりは大きな転換期を迎えています。
パソコンやスマートフォンなどの工業製品や、フィギュアなどの玩具を開発する際、外観のデザインには部品の試作が不可欠です。従来、これには加工の熟練者による手作業が必要でした。しかし、3Dプリンタならコンピュータ上に3次元データを作成するだけで、試作品はもちろん、部品を生産する金型まで作ることができます。消費者の好みが多様化する中、個々の好みを反映した製品を、少量生産で、いかに低価格で実現するかが課題となっていますが、3Dプリンタの登場で、開発コストの圧縮や開発期間の短縮が可能になりました。
自分好みをカスタムメイド
産業用の3Dプリンタは、既にさまざまな分野で活躍していて、例えば、医療分野では、患者さんの臓器などを再現した手術用模型や、ユーザー個々の耳穴の形状に合った補聴器の製作などに使われています。また、砂糖菓子やキャンディを出力できる3Dプリンタが誕生したり、アメリカのNASAでは、宇宙食を3Dプリンタで開発する計画も進められたりしています。
近年、3Dプリンタは比較的安価なモデルが発売され、インターネット上でデータがやり取りできることから、個人の消費者にとっても身近なものになりつつあります。ドラえもんの四次元ポケットのように、自分好みのモノを自分で作る時代が始まっているのです。
環境にもやさしい3Dプリンタ
3Dプリンタは、機械や材料、コンピュータ、デザインなど複数の領域にまたがる分野です。従来の加工方法と違って、材料を必要な分だけ薄く積み上げる方法を採用しているので、製造時に削ることで大量に発生していた廃棄物が出なくなり、環境にやさしいシステムとも言えます。
今後樹脂だけでなく、加工が難しい金属でも、精巧で耐久性や実用性を備えたモノを製造できる技術が確立すれば、3Dプリンタの可能性はさらに広がっていくでしょう。
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九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 教授 楢原 弘之 先生
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