新製品開発に欠かせない、「品質工学」と「メカトロ材料学」
ユーザー視点で品質を考える
日常にあふれる製品は、消費者のニーズを取り入れ、個人個人の好みに合うように多様化が進んでいます。それにともない、一つひとつの製品開発や技術革新のスピードは速くなっています。しかも、品質への要求はますます高まっています。そこで重要なのが、「品質工学」という学問です。
標準的な環境だけを基準にして新製品を設計すると、思いがけない事故や不具合が起き、リコールや損害賠償など社会にとっても企業にとっても大きな損失となることがあります。ですから、常に想定外の場面を考慮し開発や設計、検証、評価を行うことが大切です。製品の使い方や、求められる機能に加え、どういう場合に事故につながる危険性があるのかなどを、ユーザーの視点でしっかり考える必要があるのです。
新製品開発の陰に新材料あり
製品の多様化にともない、材料も多様化が進んでいます。新材料が次々と実用化されており、例えば、飛行機のボーイング787は、それまでジェラルミンやアルミニウム合金でつくられていた機体の大部分を、新素材の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使うことで強度を高め、軽量化しました。軽い機体だと当然燃費は良くなりますし、機内の空間も広くとれるため、乗客や荷物をたくさん運ぶことができます。
ITを活用して新製品の設計を
新材料を取り入れるとき重要になるのは、「メカトロ材料学」という学問です。IT(情報技術)を活用して、種々の材料の特性が生かせるように、新製品の設計を支援する学問です。世界中の材料を網羅した巨大なデータベースがあり、強度や重量、耐久性、コストなどさまざまな条件で、めざす製品に適した材料を絞り込むことができます。
工学の技術の進歩に、もはやITは欠かせないもので、目的に沿った情報をいかに引き出すかがカギとなるのです。メカトロ材料学でそれを体得すれば、世の中の変化のスピードに対応できるだけでなく、新しい流れを生み出すことも可能になるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 教授 楢原 弘之 先生
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