進歩する看護の現場
不安な患者さんへの看護ケア
病気やケガで入院すると、不安な気持ちになり、落ち着きません。そんなとき、適切な看護が受けられると少しでも心が安らぎます。医師は患者の病気を診断しますが、看護師は患者が求めている看護を判断(診断)する必要があるのです。
例えば、糖尿病などで厳しい食事制限を必要とする患者の場合、仕事をしながらこの制限をどう守っていくかという「葛藤」や「意欲の低下」、周囲に知られることへの「不安」など、さまざまな心の悩みが発生します。この悩みは、病気だから仕方がない、とあきらめてよいわけはなく、看護の対象となります。このように必要な看護を判断することが“看護診断”です。 最近注目が高まっている“看護過程”の中でも大切な部分です。
看護過程とは、看護を実践するときに用いる、科学的な思考です。これはPOS(問題志向型システム)をベースにしています。患者を観察し、看護診断をする。目標(成果)、計画を立て、実施し、患者とともにその成果を評価する。このようなプロセスのことを指します。
看護診断の大切さ
看護診断によって、看護の軸が決まります。その診断結果を受けて、看護治療の立案があり、その成果を評価するという一連の流れが成り立ちます。以前は、看護をするにも看護師の裁量にまかされる部分が多かったのですが、今はこの看護過程の考え方によって、きちんと看護プランが立てられるようになりました。1973年からスタートしていた看護の統一用語も整い、看護診断の用語ハンドブックも普及しています。「不安」「疼痛」などの言葉があっても、人によってニュアンスが異なり、共通の感覚ではなかったのです。それが、きちんと定義され、今では欧米や中国など世界15カ国語に翻訳された統一用語が使われています。医師は病巣や組織を診て、病状がなくても病気を判断しますが、看護師は症状から病気にたどりつくのです。看護診断は、看護師になるための国家試験にも出題されるようになるなど、その重要性はさらに高まっています。
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