講義No.02196 看護学

進歩する看護の現場

進歩する看護の現場

不安な患者さんへの看護ケア

病気やケガで入院すると、不安な気持ちになり、落ち着きません。そんなとき、適切な看護が受けられると少しでも心が安らぎます。医師は患者の病気を診断しますが、看護師は患者が求めている看護を判断(診断)する必要があるのです。
例えば、糖尿病などで厳しい食事制限を必要とする患者の場合、仕事をしながらこの制限をどう守っていくかという「葛藤」や「意欲の低下」、周囲に知られることへの「不安」など、さまざまな心の悩みが発生します。この悩みは、病気だから仕方がない、とあきらめてよいわけはなく、看護の対象となります。このように必要な看護を判断することが“看護診断”です。 最近注目が高まっている“看護過程”の中でも大切な部分です。
看護過程とは、看護を実践するときに用いる、科学的な思考です。これはPOS(問題志向型システム)をベースにしています。患者を観察し、看護診断をする。目標(成果)、計画を立て、実施し、患者とともにその成果を評価する。このようなプロセスのことを指します。

看護診断の大切さ

看護診断によって、看護の軸が決まります。その診断結果を受けて、看護治療の立案があり、その成果を評価するという一連の流れが成り立ちます。以前は、看護をするにも看護師の裁量にまかされる部分が多かったのですが、今はこの看護過程の考え方によって、きちんと看護プランが立てられるようになりました。1973年からスタートしていた看護の統一用語も整い、看護診断の用語ハンドブックも普及しています。「不安」「疼痛」などの言葉があっても、人によってニュアンスが異なり、共通の感覚ではなかったのです。それが、きちんと定義され、今では欧米や中国など世界15カ国語に翻訳された統一用語が使われています。医師は病巣や組織を診て、病状がなくても病気を判断しますが、看護師は症状から病気にたどりつくのです。看護診断は、看護師になるための国家試験にも出題されるようになるなど、その重要性はさらに高まっています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

関西看護医療大学 看護学部 看護学科 基礎・成人看護学 教授 江川 隆子 先生

関西看護医療大学 看護学部 看護学科 基礎・成人看護学 教授 江川 隆子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

メッセージ

看護師をめざす人には、「人と関わることが好き」「勉強が好き」であってほしいと願っています。それから、自分を素晴らしいと思えるような生き方をしてほしいです。自分自身を大事にしてこそ、人を大切にできるものです。そんな人は患者さんを尊重し、大切にできるはずですよ。また、関西看護医療大学では、地元の淡路市との協働、ユニフィケーションに力を入れています。人的、知的交流をすることで、教員や看護師だけではなく、学生も早くから行政や外部の人とのかかわりを経験でき、将来役に立つと思います。

関西看護医療大学に関心を持ったあなたは

関西看護医療大学は、神戸方面からのアクセスが便利な淡路島に位置する、私立4年制の看護の専門大学です。一人ひとりと向き合う丁寧な教育が特徴。医療の現場を知り尽くした教授陣が細かく丁寧に指導し、教職員が一人ひとりの学生を支えます。都心から少し離れているだけとは思えない勉強に集中できる環境であるのはもちろんのこと、おいしい食事や美しい景色が放課後や休日を楽しませてくれたり、疲れた心を癒してくれたり…。勉強と遊びのメリハリが付けやすいところも魅力のひとつ。他の大学にはないさまざまな魅力があふれています。