看護ケアにおいて、感染予防のために重要な意識と行動とは?
命を左右する医療現場での感染対策
新型コロナウイルスの世界的流行で、感染症に対する社会的関心が大きくなりましたが、医療現場において感染対策は患者の命を守るための基盤です。特に手術室や救命救急センター、集中治療室には重症度の高い患者が搬送されるので、免疫が低下しているケースも多く、さまざまな感染症を引き起こすリスクも高い状態です。処置のための医療器具や医療従事者との接触が多いことから、ちょっとした判断の誤りが命に影響を与えかねない現場であり、より厳重な感染対策が必要となります。
基本を徹底することの大切さ
感染症を予防するために大切なことは、標準的な予防策を徹底するということです。手洗いや消毒、手袋やマスクの着用、衛生環境を整えること、患者に使用する器具を慎重に取り扱うことなどです。看護ケアにおける感染対策は「特別なこと」ではなく、「当たり前のこと」を当たり前のこととして基本を確実に実践していくことが何よりも重要なのです。
看護師の仕事は多岐にわたるため、現場では多くの「やるべきこと」を抱えています。そのため、慌ててしまうことで、注射後の針に誤って触れてしまう針刺し事故が起こる可能性があり、この場合は血液などを介しての感染が問題となります。こちらのケースも、決められた手順をしっかりと守ることで防ぐことができます。
チームワークの重要性
感染対策では、個人だけではなく、慌ただしい中でもチーム全体がサポートし合いながら確実に感染予防を実践できるような、意識・環境づくりが大切です。感染症はしっかりと対策を行えば、患者はもちろん、看護師自身の罹患(りかん)を高い確率で防止することができます。看護師は新たな感染症に対して、研究者のように治療法を開発することはできません。しかし、治療法が確立するまでの間、予防のために必要な知識を広く伝え、実践してもらうことで、多くの人の身体的・心理的・社会的側面の不安を軽減することができるのです。
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先生情報 / 大学情報
富山県立大学 看護学部 看護学科 成人看護学(急性期) 教授 城戸口 親史 先生
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