よい香りで患者さんを癒やす ~アロマテラピーを取り入れた医療~
植物から作られた精油を使って
私たちは毎日、さまざまなストレスを感じて暮らしています。ストレスを解消するには、音楽を聴いてリラックスする方法なども考えられますが、香りを用いたアロマテラピーも効果的です。アロマテラピーは、植物を圧搾して作った、よい香りのする精油を使う自然療法です。香りには、リラクゼーション効果があり、心理学的にもよい影響を与えることは、唾液、脳波、脳の血流などの検査で明らかになっています。
香りは、鼻から体内に入り、肺から吸収され、血液に乗り、人間の大脳辺縁系に影響を与えます。大脳辺縁系は、人間の感情、記憶などを司る部分です。さらに香りは、人間の原始的な部分に刺激を与えます。心地よさを感じたり、本能に訴えかけるのです。
効果的なアロマテラピーとは?
アロマテラピーを行う際には、まずその人が好きな香りであることが重要です。それに加えて、体の中でどのように作用するかも考える必要があります。例えば、オレンジなど柑橘系の香りは、精神を活性化させるので、元気になりますが、不眠には逆効果です。
それぞれの香りの効能が明らかになってきているので、その人にふさわしい香りを選ぶことがポイントです。ただ、難しいのは、その香りに対しての感情について、個人差がある点です。においは、過去の経験とも結びついています。そのにおいによい思い出を持っているとよく効き、嫌な記憶の場合は、香りを不快に感じてしまいます。
香りへの関心が高まる
医療の現場では、歯科口腔外科や産婦人科など、痛みをともなう治療の前に、心身をリラックスさせるため、アロマテラピーを取り入れることもあります。香りには好き嫌いがありますので、個室で使用することが大切です。最近は、アロマテラピーの専門資格であるアロマテラピストの資格を取る看護師もいます。今後はさらに、香りについての科学的な検証、上手な医療分野での活用方法について、研究が進んでいくことが期待されています。
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先生情報 / 大学情報
関西看護医療大学 看護学部 看護学科 教授 奥津 文子 先生
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