「患者さんの話を聴く」看護師をめざして
病気になっても、したいことはある
長い人生の中では、病気になって入院をすることもあります。患者さんの中には「どうして病気になってしまったのだろう?」「今までとは同じ生活を送れなくなるかも」など、不安や心配を抱える人も少なくありません。看護師は、そんな患者さんと毎日接します。病気がその人の生き方にどのように影響するのか、看護師はよく考えて、ケアする必要があります。ついつい病気のことを優先に考え、患者さんの気持ちを忘れてしまうこともあるからです。窓の外を見て「運動したいな」とつぶやいた患者さんに対して「無理ですね。まずは病気を治してからですよ」と言うのは簡単ですが、どうして患者さんがそんなふうに思うのか、その心の内側を察することが大切なのです。
「聴く」ことで心をかよわせる
では、患者さんの気持ちを察するためにはどうしたらよいでしょう。それは患者さんの話をよく「聴く」ことです。慌ただしい医療の現場で、余裕を持って患者さんの話を聴くことは難しいかもしれません。でも、聴かなくては、患者さんの心の扉を開くことはできません。それに、人は本来、話したいという気持ちを抱えています。もちろん、単に漠然と聴くだけではなく、相手を知ろうという思いと、相手に合った言葉の選び方、言葉の抑揚、適切なあいづちの打ち方など、聴く技術が必要とされます。
患者さんから学ぶもの
医師と同じように、看護師も病気や治療をよく理解したうえで、それを経験している人の「反応」としての行動や言葉を、さまざまな理論などをもとに判断します。それを看護診断といいます。それが適切な看護の根拠になります。そのような中で、病気をきっかけに生き方、考え方を変え、自分を高めている患者さんからは「教えてもらうこと」もたくさんあるのです。人には病気に打ち勝つ力が備わっています。看護師には、そんな患者さんの声に耳を傾け、病気を乗り越えるための支えになるという役割もあるのです。
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