中高生もかかる依存症 心のケアや生活の支援を行う精神科の看護
生活や人間関係をこわす依存症の怖さ
心の病気は、誰でもかかる可能性があります。依存症も心の病気の一つです。アルコール依存や薬物依存の怖さが知られていますが、ゲーム依存やスマホ依存、買い物依存もよくある依存症で、子どもや若い世代の人がなることもあります。
依存症になると、その行為が「自分の中で一番」になってしまいます。ゲーム依存の人は、学校に行けなくても、友だちや家族との関係が悪くなってもゲームをやめられません。買い物依存になると、借金や罪を犯してでも買い物をするお金を手に入れようとします。
依存症の治療は数カ月の入院が必要なことが多く、中高生が長期に入院するケースもみられます。
患者と対等な関係を築く
精神科の患者は治療や回復への意欲が低いことが多く、看護師には心のケアを行うことが求められます。
依存症は、自分に自信がない、自分の本音を正直に話せない、人に嫌われるという不安が強いなど、他者と対等な関係を築けない人がなりやすいといわれています。このため、看護師が「アサーティブコミュニケーション」により患者との間に対等な関係を築くことが、患者の治療意欲や自信につながると考えられています。アサーティブコミュニケーションとは対人関係のストレスを減らすために大切なスキルで、「相手の気持ちや考えを尊重しながら自分の意見や感情をきちんと伝える」ことです。これができている医療施設では、看護師側のストレスも低いという研究結果も出ています。
生活の支援で再発をふせぐ
依存症は再発のリスクがあるため、退院に向けて生活の支援を行うことも必要です。例えばスポーツ、音楽、友だちに会って話すなど、ゲームや買い物の代わりになる行為を入院中に見つけることは再発予防のために大切です。
依存症は「この薬を飲めば治る」といった確実な治療法がありません。入院中そばにいる看護師の役割はとても大きく、どのようなケア・支援が求められるのか、さまざまな研究が行われています。
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