悲しみに寄り添う「グリーフ・カウンセリング」
悲しみに寄り添うカウンセリング
あなたは最近、思い切り泣いたことがありますか? 忍耐は美徳であるという国民性のせいでしょうか、日本人は、悲しみや怒りを表現するのが苦手だと言われます。でも、悲しい時に泣くのは当たり前のこと。それを無理に抑えてしまうと、心にも体にもよくないでしょう。
臨床心理学における「グリーフ・カウンセリング」とは、大事な人を失ってしまった人が抱える悲しみを肯定することで、傷ついた人を援助していくものです。まず悲しんでいる状況を認めて、悲しい気持ちを吐き出してもらい、それを第三者が肯定することで、悲しみを負った人が治癒力を取り戻し、再生する可能性が出てくるのです。「感情の吐き出し」というのは、実はとても大切なことなのです。
大事な人を失ってしまった場合に
子どもを亡くして悲しんでいる人に、周囲の人が励ますつもりで「あなたはまだ若いのだから、また子どもを産めばいいじゃない」などと言ってしまうケースがあります。言った人に悪意はまったくないのですが、これでは、当事者の心の中にあふれている悲しみは癒やされるどころか、行き場をなくしてさらに深まってしまいます。
犯罪被害によって家族を亡くした人などは、とてもショックで悲しいはずなのに、警察が来て家族に事情聴取をしたりして、次々と課題が降りかかり、遺族は悲しむ時間さえないのです。
臨床心理学では、このように抑えられてしまった感情をきちんと見極めて、対応していくことが望まれます。
芸術療法の有効性
グリーフ・カウンセリングの一つの方法として注目されているのが、芸術療法です。悲しみに深く傷ついている人は、自分を表現したい感情も抑えられてしまっていますが、表現をすることでそれを解放していくのです。絵が上手とか下手とか、技術の問題は関係ありません。気に入った絵柄を貼り合わせるコラージュでもいいのです。悲しみを背負わされた人が、自由に表現できるアプローチが注目されています。
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