支援が届きにくい子どもたちを、コミュニティの力で支えよう
支援が届きにくい子どもたち
発達障がいがある子どもへの支援の必要性はよくとりあげられています。そのほかにも、さまざまな「わけ」があって、サポートを必要としている子どもは意外と多いのですが、必ずしも支援が行き届いているわけではありません。
子どもたちの課題にはさまざまな「わけ」があるので、それがきちんと理解・把握され、それにあったサポートが受けられればよいのですが、子どもたちの数も多く、サポートの手も十分ではないので、なかなか難しいのが現状です。
コミュニティ臨床に期待される役割とは
このような子どもたちをコミュニティのつながりの中でサポートしていこうという試みの1つが、「コミュニティ臨床」という取り組みです。学校の努力だけでは支援が届きにくい子どもたちに、臨床心理学を学んでいる大学生や大学院生がサポーターとして、実習をかねた支援のお手伝いを行っています。
子どもたちを取り巻く世界も複雑化しており、昔のようにのんびり1日を過ごしていられなくなり、いろいろなことに対応していかざるを得なくなってきました。その変化を乗り切る力がさまざまな面で十分でない子どもたちから、だんだんと課題が表面化するようになっています。そのため、学校や地域コミュニティに関係する人たちとつながりを持ちながら、継続的な支援を行う「コミュニティ臨床」の考え方は、今後ますます重要な役割を担っていくと考えられます。
学級の中の「糊(のり)」としてのサポーター
小中学校では子どもたちは、学習と同時に、先生や友だちとの交流を通して適度な距離を持った関係を学んでいきます。発達障がいの有無にかかわらず、この関係がうまく作れず、孤立したり、トラブルになってしまう子どもの行動のわけを理解した上で声をかけたり、見守ったりする存在があるだけで課題が改善される場合もあります。
学級を支援するサポーターには、先生のニーズや子どもたちの課題のわけを理解し、先生や子どもたちをつないでいく「糊」としての役割が期待されているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 人文社会学部 人間社会学科 心理学教室 教授 下川 昭夫 先生
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