医療的ケア児をサポートできる養護教諭養成に向けて

医療的ケア児とは
医療的な処置やサポートが日常的に必要な子どもを「医療的ケア児」といいます。必要となる医療的ケアはさまざまで、例えば人工呼吸器による呼吸管理や、たんの吸引、経管栄養(胃ろうや経鼻チューブによる栄養補給)、気管切開部の管理、血糖値測定やインスリン注射などがあります。令和5年の文部科学省の調査によると、特別支援学校や通常の学校(幼稚園から高等学校)に通う医療的ケア児の人数は1万人以上にのぼっており、決して少なくはありません。
医療的ケア児と養護教諭との関わり
そんな医療的ケア児に対し、学校現場で直接医療行為を行うのは学校看護師です。一方、養護教諭は医療的ケア児の健康管理や調整役を担います。具体的には、子どもの健康状態の把握や、チューブや消毒薬など医療的ケアに必要な物品の管理、受け入れ体制の整備、学校看護師や医師との連絡調整などが養護教諭の役割です。いつ医療的ケア児を担当するようになっても慌てないように、養護教諭が知っておくべきことは多くあります。しかし現在、医療的ケア児との関わりに関する教材は十分ではありません。そのため、特別支援学校や通常の学校で、医療的ケア児の受け入れのためにどのような備えをしているか、また災害時に地域の中でどのように対応するようにしているのか、実態調査が進められています。
学校におけるヒヤリ・ハット事例
また、学校での医療的ケアではどのようなトラブルが起こりうるのか、実際の「ヒヤリ・ハット事例」のデータを集めて分析する作業も必要です。例えば、テープで固定した経管栄養のチューブが外れるのがどのようなときか、病院では要因がある程度知られています。しかし、学校現場でどのようなことが起きているのか、まとまったデータがありません。養護教諭を養成するためには、このような事例分析が必要です。
今後、さまざまな事例を学んだ養護教諭が学校現場で活躍するようになれば、子どもたちの学校での生活がよりよいものになるでしょう。
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弘前大学教育学部 教育保健講座 助教清水 真由美 先生
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