心を知る手掛かりは身体にある? 身体の感覚を言葉で表現する

心を知る手掛かりは身体にある? 身体の感覚を言葉で表現する

社会に流されない考え方

「臨床心理学」の手法の一つに、アメリカの心理学者であるジェンドリンが考えた「Thinking at the Edge(TAE)」があります。この方法は、これまでの自分自身の経験を通じて、独創的なアイディアを生み出していくためのものです。ジェンドリンはユダヤ人で、幼い頃にナチスドイツからの迫害を経験しています。当時、人々がナチスドイツの言説に惑わされ、一方的な価値観に染まってしまったことから、一人ひとりが自分自身の意見を持つことが大切であると考えるようになりました。TAEは、このような社会的な価値観や、周囲の人々の言説に惑わされずに、身体の感覚から自分自身の言葉を持ち、考えていくことを可能とさせます。

身体の感覚から自分の気持ちや考えを知る

TAEでは身体の感覚を言葉にすることによって、自分の心のよりどころを見つけることをめざします。身体の感覚とは、例えば好きな人を目の前にしたときに、胸がきゅっと締め付けられるなどの身体の感じのことです。そうした身体の感じは、率直な自分自身の気持ちや、考えを表します。TAEのよりどころは、自分自身の身体の感じを、周りの出来事や、過去の体験をとらえ直すことによって生まれます。

関係ないものどうしを組み合わせる

また、TAEでは「交差」を重視しています。TAEにおける交差では、関係なさそうな2つの物事を組み合わせ、新しい考えや視点を生み出します。例えばフリーターという言葉は、元々は英語のfreeとドイツ語のarbeiterを組み合わせて作られた造語なのですが、この言葉が作られることによって、フリーターをしながらアーティストをめざすといったように、若者にとっての新たなキャリアの展望も考えられるようになりました。フリーターは、TAEによって作られた造語という訳ではありませんが、交差の一例として考えられます。このように、新しい言葉や文を作って表現していくことが、新たな生活の展望を切り開くことに繋がり、セラピーに活用することも期待できます。

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北海道医療大学 心理科学部 臨床心理学科 助教 山下 佳久 先生

北海道医療大学 心理科学部 臨床心理学科 助教 山下 佳久 先生

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臨床心理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

おなかが暖かい、胸がモヤモヤするといったように、私たちの身体は日々の状況に応じて何かしら感じて生きています。そうした身体の感じといったものは、率直なあなたの気持ちを表したものであり、日頃の生活であなたが興味、関心を傾けている物事に触れているときにも、何かしら身体で感じています。このときの身体の感じをじっくりと味わい、言葉にすることで、率直な考えが生まれてきます。こうした身体の感じを日頃の生活から、大切にする習慣を身に付けることで、これからの生活の展望が切り開けていきます。

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