レアメタル、レアアースと社会の広くて深い関わり
こんなところにもレアメタルが!
携帯電話、液晶テレビ、パソコン、ハイブリッドカー、新幹線「のぞみ」、……これらの共通点は何でしょう? それはレアメタル(希少金属:rare metal)が使われていることです。レアメタルとは、地球上での存在量が非常に少ない、あるいは抽出の困難な金属(元素)を言います。例えばタンタルという金属は少ない量でたくさんの電気をため込める特長を持ちます。パソコンの基盤の中にある米粒ほどのチップはタンタルを使うことで2000年ごろに比べて30分の1のサイズになりました。携帯電話はタンタルをはじめとするレアメタルやその化合物があちこちに使われています。携帯電話がこれほど小さくなったのはレアメタルのおかげなのです。
レアアースが活躍
1980年代に、ネオジム+鉄+ホウ素系磁石(Nd2Fe14B)を使った強力な磁石が発明されました。磁石に使える材料について1920年代から長年開発されてきた結果、希土類(レアアース)を使うと小さくても強い磁力を発することがわかったのです。
エコの時代の21世紀になり、電気を起こし電池にためモーターを動かすハイブリッドカーが開発されました。モーターには大きなパワーが必要ですが、車の中に収まるコンパクトさ、100℃以上に上がるエンジンの温度に耐えられる強さが必要です。そこでネオジム+鉄+ホウ素系磁石に耐熱性のすぐれた特長を持つジスプロシウムを追加することになりました。開発に長年かかりましたが、レアアースが産業に大きな変化を生み出したのです。
中国がカギに
レアアースは現在97%が中国で作られています。採掘・生産にかかるコストが安い反面、レアアース成分の溶け込んだ地下水をプールする方法がとられており、環境に配慮した方法が求められています。さらに採掘国が輸出しないと言い出したら、産業界に大きな混乱が起こりかねません。このため安定した供給先の確保が望まれています。
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