森林を破壊すると、なぜ地球温暖化が進むのか?
森林破壊によって地球温暖化が進む
樹木による光合成は、エネルギーを生み出すと同時に、二酸化炭素を吸収するという大きな役割を持っています。森林は、地球の面積全体の約9分の1に当たりますが、二酸化炭素の吸収量でいえば地球全体の4割前後を担っています。つまり森林の存在は地球温暖化を防ぐ意味でも重要なのです。しかし、人間による森林破壊はいまも進行しています。発展途上国を中心に森林は年々減り続けています。2013年5月には二酸化炭素濃度が初めて400ppmを越えたことが話題になりましたが、森林破壊の影響も大きいと考えられています。
森林には炭素の貯蔵庫の役割がある
木は、吸収した二酸化炭素を、炭素として自らの中に貯め込みます。木は丸ごと動物に食べられるようなこともないので、そのまま長い間その場所に留まります。すなわち森林は炭素の貯蔵庫としての役割を果たしています。しかし人間が森林を伐採し始めたことでそのバランスが崩れました。森林伐採は、生態系の構造を破壊しただけではなく、木を燃やすことで木の中に貯蔵されていた炭素を放出させ、空気中の二酸化炭素濃度を上げることにもつながったのです。
「炭素貯金」のススメ
現状を少しでもよくするために私たちができるのが「炭素貯金」です。つまり、もともと森林に貯まっていた炭素を、私たち人間が森林の代わりに貯めようということです。木は家の建材や家具になっても、燃やさない限りその中に炭素が貯まっているので、木でできたものを使うことは、手元に炭素を貯蔵しているのと同じことなのです。そして、その製品を作るために木を切ったところにまた木を植えれば、結果的には、ものの中に貯まっている炭素の分だけ、炭素が多く貯まったことになります。東京の高層ビルをすべて木造にしたとすると、そこが森林である場合と同程度の炭素を蓄積できるという試算もあります。たとえ小さな箱一つでも、木でできたものを選ぶことは、地球の環境を守ることにつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸大学 農学部 資源生命科学 応用植物学 准教授 石井 弘明 先生
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