コンピュータゲームやアニメーションのための仮想人間技術の課題

コンピュータゲームやアニメーションのための仮想人間技術の課題

コンピュータアニメーションと仮想人間技術

コンピュータアニメーションやコンピュータゲームのための研究と聞いて、あなたはどのような研究を思い浮かべるでしょうか? これらの作品の制作に必要な技術として、美しい映像を生成するためのCG技術ももちろん必要ですが、特に重要となるのは、これらに登場するキャラクタ(仮想人間)の動作を実現するための技術です。
コンピュータアニメーションの用途は、CG映画などのオフライン・アニメーションと、コンピュータゲームやアバターを使った仮想空間内でのコミュニケーションなどの動的に映像が生成されるリアルタイム・アニメーションの2種類に区別されます。このうち、特に後者の用途では、人間のアニメータがすべての動作を作成しておくことができず、ユーザーの操作や状況に応じてリアルタイムに動作を生成する必要があるため、よりソフトウェア技術の重要度が高くなる用途となります。

仮想人間技術の3つの課題

1つ目の課題は、ユーザーの操作や、仮想人間が外部から力や衝撃を受けたといった仮想空間内の状況に応じて、仮想人間の自然な動作を動的に生成する技術です。
2つ目の課題は、ユーザーが思い通りに仮想人間を動かすためのユーザインタフェースです。現在主に使われているゲームパッドやキーボードでは、ごく限られた動作しか操作できません。
3つ目の課題は、仮想人間の自然な外観の実現です。そのためには、自然な動作を生成するだけでなく、仮想人間の外観を構成する衣服・髪・皮膚などの動きを生成する物理シミュレーション技術も必要になります。

ほかの分野にも広がる応用範囲

仮想人間技術の研究では、我々人間がどのようにして身体を動かしているのか人間の動作制御の仕組みを明らかにすることになります。このような技術は、コンピュータアニメーションやコンピュータゲームだけでなく、人間の動きを解析することで医療やスポーツのトレーニングに役立てたり、将来には人間と同様の動作を行えるロボットの実現への応用なども期待されます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

九州工業大学 情報工学部 知能情報工学科 教授 尾下 真樹 先生

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メッセージ

将来はコンピュータゲームやアニメーションを制作する仕事につきたいと思っている人もいるかもしれません。これらはプログラマーやアーティストなどの異なる分野の専門家の共同作業により制作されますので、自分のやりたい仕事に応じて進路を選ぶことが必要でしょう。ゲームプログラマーになりたければ、大学に進学して情報系の学部・学科で勉強をするのは良い選択でしょう。しかし、ゲームプログラマーには高い技術力が要求されますので、ただ授業を受けて勉強をするだけではなく、自分で積極的に努力して技術を学ぶことが必要でしょう。

先生への質問

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「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・ 技術となっています。九州工業大学情報工学部は1986年 に創設された日本初、現在も国立大学法人で唯一の情報工学部で、2016年に創設30周年を迎えました。知能情報工学科、電子情報工学科、システム創成情報工学科、機械情報工学科、生命情報工学科の5学科があり、情報工学の学びを軸としつつ、各学科の応用分野に対する教育研究を進めています。特に、教育システムは、全学科がJABEEに認定され、世界的に通用するものであることが保証されています。