自宅のリビングが「バーチャルリアリティ空間」になる!?
VRは普及してきているけれど
VRは「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略で、「仮想現実感」や「人工現実感」とも呼ばれます。身近なところでは映画やアニメ、ゲームなどでVRの技術が使われており、仮想世界を体感できる施設やゴーグル型の専用機具も普及してきました。
次に求められている課題は、「いかに一般家庭の中に仮想空間を作り出すか」という点です。ゴーグル型の機具は比較的安価になってきましたが、装着中は閉塞感があり、周囲にいる人とはコミュニケーションが取れません。スクリーンもゴーグルも使わず、もっと自然な形で現実と仮想をつなげるための技術が求められているのです。
リビングルームを仮想世界にするために
一般的な部屋の中に仮想世界を作ろうとすれば、映し出す場所に置かれている物の形や色の情報はもちろん、固定されていない物の移動情報も把握しなければなりません。最新の技術を駆使しても、三次元物体の位置や姿勢を正確にとらえるのはなかなか難しいのが現状です。ほかにも、布製品など柔らかい物質へどう投影するか、状態を認識してから投影までのタイムラグを縮めてリアルタイム性を高めるにはどうすればよいか、といった課題もあります。さらに、人間の動きに合わせて映像の見え方を変える必要もあるなど、まだまだ研究の余地の多い分野です。
夢が無限大に広がるVRの未来
もし一般家庭でVR体験が可能になれば、ゲームやスポーツ観戦などで臨場感のある体験をみんなで楽しめるようになります。また、祖父母の家と自分の家を仮想空間でつなげて一緒に会話をしたり、旅行の仮想体験や思い出の追体験をしたりすることも可能になるでしょう。ほかにもモデルに洋服を投影し、次々と着替えていくファッションショーや、入院中の患者さんでも旅気分を味わえる病室の開発など、可能性は無限大です。最終的には、視覚だけでなく「五感すべて」でバーチャルなものと現実のものが置き換えられる「究極のVR」がめざされています。
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先生情報 / 大学情報
電気通信大学 情報理工学域 I類(情報系) メディア情報学プログラム 教授 橋本 直己 先生
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