これからの建築に欠かせないのは、人や社会を思う気持ち
デザインとは、人の思いをつくるもの
デザインは「意匠」とも呼ばれ、「意=思い」を「匠=創る」ものだと言われています。20世紀では進歩や発展が理想とされ、建築の分野においても、常に新しいデザイン・新しい建築を生み出すことに重きが置かれていました。その結果、建築物の寿命は短くなり、スクラップ&ビルドが進行してきたのです。特に近年の大規模開発ではコストや技術が優先され、その場を利用する人々や先の未来のことを思う、気持ちの部分が後回しになってしまいがちです。環境保全やSDGsの観点から考えても、これからの建築は最先端の技術や見ためのカッコよさだけではダメなのです。
「まわりを思いやる」建築
これからの時代に必要とされ、人々に受け入れられる建築とは、人の思いをくみ取り、それに寄り添うことができる建築です。また、古いものや今あるものを大事に使い続け次の世代へと継承していくことや、歴史的な建築物の価値を生かしたデザインを考えることは社会的にも大きな意義を持ちます。加えて、その土地の風土や歴史などの特性を読み解き、地域性を重視することもより一層求められるでしょう。まさに今、建築に携わっていく一人一人が、この変化に柔軟に対応していく必要性があるのです。
建築とは「社会的」なものであり「思い」が不可欠
建築物は、ただそこにあるだけでなく、そこに暮らす人や利用する人がいて初めて成り立ちます。だからこそ、利用者に思いをはせ「人や街をどうしたいか」を考え抜いた上で設計していくことが重要です。これはまさに「まわりを思いやる建築」であり、「人と人」「物と物」「人と物」をつなぐ役目を建築が担っているとも言えるでしょう。また、建築は絵画や彫刻のように自らの手だけでは作り上げることができません。設計者だけでなく、多くの人の協業・協力の上で実現できるものであり、たくさんの人の思いに支えられています。だからこそ、関わる人に建物に思いを持って向き合うことが大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪電気通信大学 建築・デザイン学部 建築専攻 准教授 北澤 誠男 先生
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