講義No.05494 教育

「夏休みの計画、守れますか?」~教育と計画の気になるカンケイ~

「夏休みの計画、守れますか?」~教育と計画の気になるカンケイ~

先生も計画の実行には苦労する

あなたは、夏休みの学習計画を立てたことがありますか? 最初は、張り切って立ててみても、それを実行するのは難しいものです。計画を守れないことも少なくありません。これは生徒であるあなただけではなく、実は学校の先生であっても、計画を実行するのに苦労することがあります。それは授業計画についてです。

「PDCA」で計画を見直す

1980年代まで、学校の授業計画については、実行できているかどうか、さほど重要視されませんでした。今と違って相対評価が用いられていたことが一つの原因でした。生徒の学力が目標まで達しているかどうかは、検証していなかったのです。一方1960年代に、「PDCA」というアメリカの経営学の考え方が一般企業に入ってきました。これはP(Plan/計画)、D(Do/実施)、C(Check/点検)、A(Action/見直し)という一連の流れです。そして、これがかなり遅れて教育現場にも影響を及ぼすようになりました。しかし日本の教育への導入には、難しいものがありました。それはどうしてでしょうか。

特色ある学校づくりのために

もともと、日本の伝統的な教育方法は「見て、真似をする」ということを重視していました。武道や芸事などに通じるように、技術的な説明よりも、師匠や先生のそのまま真似をする、という方法です。そのため、少しずつ段階を踏んで、知識や技を獲得させること、カリキュラムを組むことは不必要だったのです。明治以降は欧米の教育方法が取り入れられたにもかかわらず、講義で明らかにするさまざまな事情から、21世紀になるまで教育の世界で計画の実効性がほとんど問われませんでした。そのため、あいかわらず計画を守ることは不得手なままなのです。ところが近年では計画を守り、意欲を喚起することも大切にするようになってきました。その際、現場の先生が学校の力と地域性などを総合的に判断し、独自のカリキュラムをつくっていく必要性もあります。それが特色のある学校づくりへとつながっていくのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

兵庫教育大学 学校教育学部  准教授 伊藤 博之 先生

兵庫教育大学 学校教育学部 准教授 伊藤 博之 先生

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メッセージ

あなたは、学校で毎日いろいろなことを勉強してきたと思います。算数や理科、社会、国語、中学以降には、英語や数学を学んでいると思います。それでは、いったいなぜ、あなたはそれを学ばなくてはいけないのでしょうか? それについて考えたことはありますか? もちろん親御さんや先生から学ぶことの一般的な意義を伝えられていると思いますが、本当に自分自身が納得できていますか? もし、それについて考えて納得できていないなら、私と一緒に考えていきましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

兵庫教育大学に関心を持ったあなたは

兵庫教育大学は学校教育に関する理論的、実践的な教育研究を進める「教員のための大学」、学校教育の推進に対し「開かれた大学」です。
本学の開学以来の特色である実地教育(教育実習)は、教育実践に必要な基本的事項を広範囲に取り上げて系統化し、1年次から4年次の4年間にわたって、継続的に履修するように準備しています。
また、本学には大学院(修士課程)、教職大学院が設置されており、各都道府県から派遣された現職教員である大学院生との交流により、教員としての豊かな経験に触れることができます。