「夏休みの計画、守れますか?」~教育と計画の気になるカンケイ~
先生も計画の実行には苦労する
あなたは、夏休みの学習計画を立てたことがありますか? 最初は、張り切って立ててみても、それを実行するのは難しいものです。計画を守れないことも少なくありません。これは生徒であるあなただけではなく、実は学校の先生であっても、計画を実行するのに苦労することがあります。それは授業計画についてです。
「PDCA」で計画を見直す
1980年代まで、学校の授業計画については、実行できているかどうか、さほど重要視されませんでした。今と違って相対評価が用いられていたことが一つの原因でした。生徒の学力が目標まで達しているかどうかは、検証していなかったのです。一方1960年代に、「PDCA」というアメリカの経営学の考え方が一般企業に入ってきました。これはP(Plan/計画)、D(Do/実施)、C(Check/点検)、A(Action/見直し)という一連の流れです。そして、これがかなり遅れて教育現場にも影響を及ぼすようになりました。しかし日本の教育への導入には、難しいものがありました。それはどうしてでしょうか。
特色ある学校づくりのために
もともと、日本の伝統的な教育方法は「見て、真似をする」ということを重視していました。武道や芸事などに通じるように、技術的な説明よりも、師匠や先生のそのまま真似をする、という方法です。そのため、少しずつ段階を踏んで、知識や技を獲得させること、カリキュラムを組むことは不必要だったのです。明治以降は欧米の教育方法が取り入れられたにもかかわらず、講義で明らかにするさまざまな事情から、21世紀になるまで教育の世界で計画の実効性がほとんど問われませんでした。そのため、あいかわらず計画を守ることは不得手なままなのです。ところが近年では計画を守り、意欲を喚起することも大切にするようになってきました。その際、現場の先生が学校の力と地域性などを総合的に判断し、独自のカリキュラムをつくっていく必要性もあります。それが特色のある学校づくりへとつながっていくのです。
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先生情報 / 大学情報
兵庫教育大学 学校教育学部 准教授 伊藤 博之 先生
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