子どもたちに「算数」の楽しさを伝えるために
算数をわかりやすく教えることの難しさ
あなたは、数学という科目は好きですか? 算数はどうでしたか? 小学校の頃を思い出してみてください。教師にとって、算数や数学を子どもたちにわかりやすく教えることはとても重要なことです。算数の教科書を見ると、計算などは簡単で、すぐに解けそうです。でも、子どもたちにわかりやすい授業をすることは、難しいものです。どうして、難しいのでしょうか?
□には何を入れますか?
例えば、「2□+3=27」という式の□の部分に入るものは何か、という問題を出したとします。方程式を知っている中学生なら、□は「わからない数字」を意味すると考え、□=「x(エックス)」だから、2x+3=27と考えて、この方程式を解き、□に12を入れるでしょう。ところが、小学生なら、□の部分に「4」を入れるかもしれません。中学生でも「4」と書く子どももいるでしょう。小学生は、日頃から「□に入る数字を考えてみよう」というような学習をしています。ですから、ごく自然に□に「4」と書き、それはそれで不正解ではないのですが、中学生になると方程式という考え方を学習するので、「4」と書いた場合には注意が必要です。その場合は、「24」ではなく、「2」と「□」の間には、「×=掛ける」が隠れているので、「2□」つまり「2x(エックス)」だという考え方をすることも必要なのです。子どもたちが問題の答えを間違った場合、教師は「どのように考えてこの答えを出したのか」と、考えることが重要なのです。
数学は考えることがおもしろい
算数や数学では、図やグラフを使ったり、描いたりして、問題を解く手かがりとします。図は「思考の道具」とも言われています。わり算では、ケーキを分けたり、長いテープを分割したりする例題が使われます。
算数や数学は、自分自身で考える力を必要としますが、アイデアを深めることで、おのずと正しい答えへたどりつくというおもしろさがあります。このおもしろさを伝えるのが、教師の役割だと言えるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
兵庫教育大学 学校教育学部 教授 加藤 久恵 先生
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