SDGsを自分事に! 持続可能な社会のつくり手を育むには?
まず「持続不可能な場面」を知る
教育の場でSDGsを取り上げる時に、まず「17の目標」を知ることが大事だと思うかもしれません。しかし本当に重要なのは、これを「自分に関わりのある事」として、持続可能な社会の実現のためにどうすればいいのかを考えることです。そのための学習や指導方法の研究では、例えば海の汚れや地域の過疎化など「持続不可能な場面」を知ることから始める試みがあります。そこから「このままでいいのか?」という問題意識が生まれて、具体的な解決策を考えることにつながります。このような「持続可能な開発のための教育」は、実はSDGsが制定される前から展開されています。
現場で五感をフル稼働
実践の中では、例えば「雪深い寒冷地が持続可能な地域になるためにどうすればよいのか」を、現地に行って考えることがあります。氷点下の場所で直接地元の方々から話を聞き、周りの状況や生活の実態など五感を働かせて体感しながら、課題やその解決策を考えるのです。人間と自然との関係性を追求する地理学のフィールドでの体験は、学習意欲を高めるためのきっかけや動機としての教育効果も確認されています。一方、教室という現場で子どもたちの動きや状況を五感で受け止めて、適切な立ち居振る舞いが求められる教育は、「現場主義」という点で地理学とつながっていると言えるのです。
未来の目標からさかのぼって今を考える
そもそも持続可能な社会のつくり手にはどんな力が求められるのでしょうか。1つは例えば地球温暖化の原因などの「知識や情報収集能力」があります。もう1つは、SDGsに向けて自分に何ができるのかといった「行動力や活動力」が焦点になっており、同じ課題にいろいろな人たちと向き合うための他者理解の姿勢も必要です。また、課題解決に向けた目標達成のためにまず「どういう力が求められるのか」を考える必要があります。そしてその力を育むために今、どの教科でどういう授業をすべきなのかといった筋道で学習活動を考えることが求められます。
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