講義No.06582 歯学

簡単かつ安全に歯を清潔にキープできるオゾンナノバブル水

簡単かつ安全に歯を清潔にキープできるオゾンナノバブル水

注目を浴びるオゾンナノバブル水

オゾンナノバブル水とは、直径100ナノメーターのガス核としてオゾンが入った水です。もともとオゾン水には殺菌作用があることで知られていましたが、10分程度でオゾンが抜けてしまうのが難点でした。ガス核の小さいナノバブル水なら、紫外線さえ避ければ数カ月はオゾンが抜けないという利点があり、徐々に歯科の現場に導入されつつあります。主な使い道としては、うがいに使う場合、歯石を取るスケーラーという機械から超音波で噴出させる場合があります。
実際にオゾンナノバブル水を超音波スケーラーで使った場合と普通の水を使った場合の細菌の数を8週間にわたって測定したところ、水の場合は細菌の数が戻っていきましたが、オゾンナノバブル水の場合は8週間時点でもなお低い状態だったというデータが出ています。

オゾンナノバブル水の効果的な使い方

ブラッシングでバイオフィルムというばい菌のかたまりを砕いた後、うがいに使うと効果的です。超音波スケーラーで大量に使えば、歯石が取れるだけでなく治療効果が上がり、血液中に細菌が入る菌血症の予防になる可能性もあります。ただ、オゾンナノバブル水は、たんぱく質に引き寄せられてしまうと、オゾンが細菌の方に行かない性質があるので、使い方を間違えると効果は望めません。

ヘルスプロモーション:健康寿命の延伸へ

うがいだけで簡単に効果が得られるのは、超高齢社会の現在、大変注目すべきことです。高齢者が増えると、寝たきりになったり、歯磨きなどの日常の作業が難しい人も増えるわけで、うがいだけでも、ある程度殺菌効果が認められ、口腔内を清潔にキープできるのは有難いことです。
現在、国の方針として「長生きするなら元気に」ということで健康寿命の延伸が叫ばれています。口腔内の状況をよくすることは糖尿病や心臓血管疾患など全身病の予防にも深い関わりがあると言われています。オゾンナノバブル水の活用によって健康寿命の延伸につながることが期待されているのです。

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東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 教授 荒川 真一 先生

東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 教授 荒川 真一 先生

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歯学、口腔保健衛生学

先生が目指すSDGs

メッセージ

現在、日本は超高齢社会で高齢者が非常に多くなっています。しかし、単に長く生きるのではなく、「健康に長生きすること」が非常に重要です。歯、口の病気と全身の病気は非常に深い関係があることがわかっています。口の中の環境を整えるということは、全身の病気の予防になるということで、歯科が非常に重要になってきています。ぜひ、あなたが、歯科に興味を持ってくれると嬉しいです。

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東京医科歯科大学は、医学・歯学・保健衛生・口腔保健からなる医系総合大学であり、高い倫理観を備えた医療人を養成します。社会の要請に応え得る医師、歯科医師、コ・メディカルスタッフの養成は勿論、世界の第一線で活躍し得る研究者、指導者の育成を目指しています。したがって、大学は勉強するところではなく、勉強する方法を自ら学び、自律するための場であるとの認識を学生諸君に徹底しています。