デジタルアーカイブ化で、地域と未来に貢献

デジタルアーカイブ化で、地域と未来に貢献

3DCGによる自由な鑑賞

文化財や美術品などをデジタル記録することをデジタルアーカイブといいます。そして3DCGとして再現することにより、劣化させることなく本来の姿を後世に残すことができます。美術品や文化財などは、美術館や博物館、史料館などに置かれているものを鑑賞するのが一般的です。もしそれらを3DCGとして忠実に再現できるようになればどうでしょう。展示物を通常では見ることのできない角度で鑑賞したり、照明を変えて鑑賞したりできるようにもなります。また、歴史的建造物の3DCGであれば、室内を含めて自由にめぐりながら鑑賞できるようになるなど、自由な鑑賞スタイルを実現できる可能性を秘めています。

色や質感も含めて忠実に再現

デジタルアーカイブにおいて大切なのは、実物に基づいて忠実に記録することです。しかし、技術が進歩した現在においても風合いや色合い、質感までを精密に記録し3DCGとして再現することは至難の業です。そこで、例えば絹織物や漆器がもつ美しい独特な光沢や質感を含め、さまざまな計測機器を活用したり計測技術を開発したりして忠実な3DCGとして再現できるようにめざしています。また地域の歴史的建造物である城の場合は、城跡しか残されていないことが多くあります。長野県の小諸城は江戸中期の絵図などの歴史資料が残されており、そこに書かれている情報や城跡の情報から江戸時代の城と城下町を3DCGとして復元するプロジェクトを進めています。

デジタルをいかに活用するか

デジタルアーカイブ化された情報は、子どもたちの教材や文化を知るための資料として、また地域の観光事業などに役立てることができます。映像やアプリとしての活用でいつでもその姿を鑑賞できるようになるでしょう。VRと組み合わせれば実物大で体感することもできます。また、地域の文化財や史跡などの3DCG再現は地域と協働で行なうため、地域の魅力や課題が見えてきます。課題の解決を見据えた活用法を考えることが、地域や社会への貢献につながっていくのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

長野大学 企業情報学部 企業情報学科 准教授 望月 宏祐 先生

長野大学 企業情報学部 企業情報学科 准教授 望月 宏祐 先生

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情報学、メディア学

先生が目指すSDGs

メッセージ

地域の文化財などをデジタルアーカイブ化することは、その地域の文化や歴史を守ることにつながります。3DCGや映像機器などのデジタル技術は日々進歩しています。デジタル技術の知識の習得はもちろん大切ですが、それとともに、いかに社会や地域でそれを活用するのかを考える力も大切です。一緒に社会や地域が抱える課題に挑戦し、デジタル技術で地域の発展に役立つことのやりがいを感じましょう。

先生への質問

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長野大学は、1966年に地域の熱い期待を背負って誕生した「地域立」の大学です。本学は地域にある課題を発見し、地域とともに解決していく実践的な学びを大切にしています。地域には豊かな自然環境や歴史が宿る文化遺産、経済を牽引する産業や観光資源、安心して暮らせるまちづくりなど学びの要素があふれています。地域社会をフィールドに、主体的に考える力や、問題に対して多面的に取り組む力を養いながら漠然とした問題を明確化し、逆境に立ち向かっていける足腰の強い人材を育成します。