分子を思いのままに操る、新しい「ナノの世界」

分子を思いのままに操る、新しい「ナノの世界」

とても小さい部品の開発が性能を飛躍的に高める

パソコンを今の千分の一まで小さくできたら、そのパソコンを千台組み合わせることで、今のパソコンと同じサイズでも、その性能は千倍になるでしょう。同様に身近にあるさまざまなものも、できるだけ小さくすることで性能を飛躍的に高められます。パソコンを千分の一にするには、使われている部品をすべて千分の一にすればよく、もっと小さい部品を作ることができれば、さらなる性能アップが期待できます。原子や分子は物質を構成する最小単位です。ですから原子や分子一つひとつを部品として機械を作ることができれば、究極の性能を持つ機械を生み出すことに繋がります。

分子の働きをコントロールする-分子機械の開発-

分子を部品とするためには、分子の働きを解明し、操ることが必要です。しかし、分子はあまりにも小さいので、その動きを見たり働きを直接調べたりすることは困難でした。しかし、ナノ研究が進む中で、分子の構造や働き、分子同士の結びつきが徐々に解明され、分子の働きを制御できるようになってきました。例えば、らせん状の天然高分子を加工して、pHや温度などの変化でらせんの巻き・解きを制御できるようにしました。この機能を利用して、らせんの中に詰め込んだ別の分子を自在に出し入れできる賢いカプセルへと応用しました。ここで重要なのは、外界から指令を与えることで、分子の働きを制御できるところです。このような「分子機械」を複数集めると、きっと素晴らしい機能を生み出すことも可能でしょう。

さまざまな分野に応用できる研究

人間の体でも、さまざまな分子機械が働いています。タンパク質分子や遺伝子などもpHなどの変化を検知して、必要な働きをしています。つまり分子の働きの解明と制御は、化粧品や薬剤、次世代エネルギーなど、医学や工業分野などさまざまな分野で応用できます。この分野の研究は始まったばかりで、今は新しい分子の開発や、その働きを解明している段階ですが、人間の夢を可能にする潜在力も持っている研究なのです。

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先生情報 / 大学情報

崇城大学 工学部 ナノサイエンス学科 教授 田丸 俊一 先生

崇城大学 工学部 ナノサイエンス学科 教授 田丸 俊一 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

機能性分子化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の専門は化学です。化学の力を駆使することでいろいろな分子を創造して、生命に迫るような、今までにない素晴らしい機能を生み出すことができればと思っています。
化学は新しいものを作り出せる学問です。しかも、難しいことではなく、基礎的なことをしっかり勉強しておけば、面白い発見や未知のことを知ることができます。また、研究には失敗がつきものですが、そこから新しい発見が生まれることもあります。新しいこと、それを未来に生かすことを考える研究を学生と一緒に行っています。

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崇城(そうじょう)大学は薬学、生物生命、工学、情報、芸術の5学部からなる総合大学です。“世界で活躍できるプロフェッショナルの育成”を目指し、最先端の施設・設備・研究を備え、学生一人ひとりを厳しく育てる実践的な教育プログラムにより、高い就職率や国家資格合格率を維持しています。理系私立大学では全国初の英語を公用語とする学習施設「SILC(シルク)」があり、英語ネイティブ講師による英語教育が成果を上げています。本学の地である熊本から産業界の未来を切り拓く若者を輩出する学舎でありたいと決意しています。