エネルギー問題の解決に向けた太陽光発電
太陽光エネルギーによる化石燃料の代替
現在のエネルギーの多くは、石油などの化石燃料に頼っています。このため、CO₂排出による地球温暖化やエネルギー資源の枯渇の原因になっています。この解決には、CO₂を排出することなく、資源の尽きないエネルギーへの転換が早急に必要です。そこで、再生可能エネルギーの利用が注目されています。その中でも太陽光は、最もエネルギー量が多い資源です。しかし太陽光から実際に取り出せるエネルギー効率は、15%程度です。これは、火力発電や水力発電、原子力発電の40%に劣ります。
コロイド量子ドット太陽電池なら75%
現状のシリコンを用いた太陽電池は、理論上の最大効率が27%です。しかし量子ドットは、理論上75%以上です。これなら地球上で必要とされる全てのエネルギーを、太陽光だけでまかなうことができます。シリコンは太陽光の一部の波長の光しか有効に吸収できませんが、コロイド量子ドットは、その微粒子の直径を2~12nmの範囲に制御して合成することで、さまざまな波長の太陽光を吸収できるようになります。これは量子サイズ効果といいます。複数の大きさの粒子を作ることで、太陽光のエネルギー効率を大幅に上昇させることができます。
将来は太陽光だけで発電
現在は、複数のコロイド量子ドットの粒子を作り分けることができています。次は、太陽光パネルへの実装に向けた研究です。原油などの化石燃料は、中東などから世界中にタンカーで輸送されています。しかし将来は、世界中の砂漠などにこのコロイド量子ドット太陽電池を設置して、発電された電気を輸送損失がない超伝導海底ケーブルで世界に運んで利用します。昼夜を問わずに、常に世界中のどこかに設置されたパネルで発電し続けて、それを全世界へ送電します。75%以上の太陽光発電が実現されることで、全世界で必要とされる全エネルギーをこのコロイド量子ドット太陽電池でまかなうことができるのです。化石燃料に頼らず、地球環境にやさしい本当のエネルギー社会を実現する研究なのです。
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先生情報 / 大学情報
県立広島大学 生物資源科学部 生命環境学科 環境科学コース 教授 大竹 才人 先生
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