成果が出ないからといって研究開発をやめてはいけない
技術革新の成果が出るまでにはタイムラグがある
「技術革新」は経済成長の大きな要素ですが、すぐに成長につながるわけではありません。研究開発で新しい技術が誕生すると、しばらくは同種の技術との間で淘汰が始まります。また、製品化するためには関連技術の開発も必要になるでしょう。その一方で、企業は市場を見て売り上げの見込みを立てます。結果によっては、技術があっても製品化しない場合もあります。技術革新の成果が表れるまでには、どうしてもタイムラグが生じます。このような状況は、一時的に経済成長を鈍らせるかもしれません。
業界や国を越えて波及する技術
新しい技術は業界や国といった境界を越えて波及していきます。ある業界で誕生した技術がその業界では日の目を見ず、別の業界で製品化されることがあります。国家間でも同じことが言えます。これは技術の性質にもよりますし、業界や国の社会システムなどが影響する場合もあります。さらに、淘汰によっていったんは忘れられた技術が、別の場所で復活することもあります。このような技術の移転は、特許はもちろんのこと、関連技術を含むものの移動、技術者の移動、あるいは企業買収などによる資本の移動によっても起こります。その経過は複雑で、多岐にわたるのです。
技術だけではなくプロセスにも革新がある
「革新(イノベーション)」は、技術のほかにプロセス(手続き)にもあります。生産や販売、経営を効率よく行うための革新です。開発でも消費者にアイデアを求めるなど、情報での革新も考えられます。ただ、技術を含むこれらの革新には、成果予測を数値にすることが難しいという問題があります。そのため、研究開発の成果がすぐに出ないと、開発をやめたり研究開発費が削減されたりする場合があります。しかし、技術革新の成果が出るまでの過程は複雑なので、結果がすぐに出ないからといって、研究をすぐにやめるべきではありません。技術革新には先見性と合わせて長期的な視点も必要なのです。
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