講義No.08274 経営学・商学

企業も商品も、大切なのは自己認識!

企業も商品も、大切なのは自己認識!

今の当たり前は昔とは違う!

今、消臭剤というと、モノに吹きかけてにおいをとる消臭剤をイメージする人も多いと思いますが、少し前までの日本では、「部屋のにおい=空間のにおい」と考えられており、置き型の消臭剤が主流でした。しかし、消臭剤のメーカーがアメリカで「布製品のにおいをとる消臭剤」として売っていた吹きかける消臭剤を日本に持ってくる際に、「部屋のにおい=布のにおい」というメッセージとともに「部屋のにおいをとる消臭剤」として売ったことで、モノに吹きかける消臭剤が定着したのです。「この商品はどんな商品か?」を考えることは、商品を売る際にとても重要です。

企業に重要な「自社はどんな企業か?」という問い

商品の場合と同じように、企業も、時代を超えて生き残るために、「そもそも自社はどのような企業なのか」を考える必要があります。例えば、日本の鉄道会社は、自らを「ライフスタイルを作る企業」ととらえて、沿線や駅の近くで住宅地を開発したり、休日に鉄道を使ってもらうためにレジャーランドを建設したりしました。また、駅前に鉄道会社の名前がついた百貨店がありますが、買い物もライフスタイルの一環なのです。このように、自社をどうとらえるかによって、さまざまな事業に手を広げることができました。

時代を超えて企業が生き残るためには

日本での鉄道会社は成功しましたが、自社を「鉄道業」だととらえたアメリカの鉄道会社は失敗して衰退し、現在では貨物輸送が中心となっています。アメリカでは1800年代半ばから鉄道網が広がり、1900年頃には最盛期を迎えました。しかし、自動車が発達してきたときに競争相手だと考えなかったため、その後は自動車や飛行機に取って代わられました。もし自らを「鉄道業」ではなく、ほかの乗り物を含めた「輸送業」と広くとらえていたならば、自動車が出てきた時点で「市街地の近くに駅を作って便利にする」といった対応策が取れていたかもしれません。それほどに、企業が自らをどうとらえるかは重要な戦略なのです。

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先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 商学部 商学科 准教授 今井 希 先生

大阪公立大学 商学部 商学科 准教授 今井 希 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

経営学

メッセージ

「経営学」は社長になるために学ぶものだと思う人もいるかもしれませんが、もっと身近な学問です。普段の生活に企業の活動がどうかかわっているのか見渡してみると、たくさん見つけられるはずです。日々使っているモノや利用しているサービスを通じて、「企業が何をしているのか」に関心がわくようなら、経営学部や商学部を考えてみてください。
また、個人的には、高校の科目で一番大切なのは現代文だと思います。国語の授業で読解力をしっかりと身につけることをおすすめします。

先生への質問

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2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学が誕生しました。大阪市立大学、大阪府立大学は共に約140年の歴史ある大学であり、水都として交通の要衝であった大都市大阪とともに発展してまいりました。この地の利を生かし、理論と実際を有機的に結合することにより、両大学は大都市大阪で生活する人々が必要とする精神文化の発展や産業と経済の振興を担う中心機関としての役割を果たしてきました。本学はさらなる異分野を融合・包摂した新たな学問の創造と多様な世界市民の育成を目指します。