これからの看護師に求められる「メタ認知」とは
変化している看護師教育
新人看護師の教育方法が変わってきています。以前は先輩看護師に付いて、日常業務のなかで仕事を覚えていました。先輩が指導に関するノウハウをもたずに新人に接し、互いにストレスがたまることもありました。教える内容も、基本的には先輩自身が学んできたことを中心に組み立てられていました。ところが、医療技術の高度化や安全に対する意識の高まりなどにともない、看護師に求められる技術や知識のレベルも高まっています。これを受けて看護師教育も見直され、新たな能力育成方法が課題となっているのです。
自分を客観視する「メタ認知」
自分の思考や行動を、もう一人の自分が、まるで外から見ているように客観視することを「メタ認知」と呼びます。言い換えれば、自分の認知活動そのものを第三者的に認知する高次の認知機能です。看護師は、患者さんと向き合い、目標を設定し看護計画を立て、その計画の進み具合をモニタリングし、必要に応じて軌道修正したり、成果を評価しています。日常の看護活動を行うために、その場の状況を見通して臨床判断を行うことがたびたびあります。そこでメタ認知を働かせることができれば、看護師の活動が適切に遂行されるようになるのです。
「振り返り」を通じてメタ認知を身につける
これまでにも看護師は、自分自身の看護実践の「振り返り」を行っていました。自分がどのように考えて行動したのかを振り返り、患者さんとの関わり方やコミュニケーションの取り方などを改めて検討していたのです。こうした活動を繰り返すことでも、メタ認知は培われていきます。
看護に限らず、自分が何かに取り組んでいて、その活動ぶりを振り返るときにも、メタ認知は役立ちます。自分と他人の考え方の違いがどこにあるのかと考えてみたり、新聞などに書かれている一般的なものの考え方と、自分の意見の違いを意識することによってもメタ認知を養うことができるのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪公立大学 看護学部 看護学科 教授 細田 泰子 先生
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