国際分業で東南アジア諸国の経済発展を促す日本
日本のものづくりも見直しへ
液晶テレビなどの不振による巨額赤字に苦しむ日本の電機メーカーには、復活をかけた経営戦略の練り直しが迫られています。自動車業界も海外メーカーとの激しい競争の中で、生産拠点の海外シフトが加速しています。こうした流れの背景にあるのは、経済のグローバル化です。もはや日本メーカーの強みでもあった、国内での部品生産からの一貫したものづくりは、見直さざるを得ない時代が到来しています。そのキーワードが、「国際分業」です。
進む国際分業
国際分業とは、労働集約産業である繊維・縫製分野、あるいはシンプルな自動車部品などは人件費が低いカンボジアやベトナムでつくり、技術が必要なものは日本でつくるなど、先進国と途上国が生産を分業化することで、お互いの発展と成長を図っていこうとする経済連携です。工業化のスタートとなる繊維・縫製産業では東南アジアへの生産シフトが進んでおり、GAP(ギャップ)やNIKE(ナイキ)などの海外有名ブランドメーカーは、経営資源を付加価値の高いデザインと流通に集中し、生産は教育レベルや社会インフラなどの面で最適と判断した途上国に生産委託しています。
WIN-WINの関係で途上国の経済発展に貢献
欧米企業とはビジネスモデルが異なる日本のメーカーは、単に生産業務を委託するだけでなく、自ら海外に工場を建設し、途上国の雇用や産業の発展に貢献しています。例えば、東南アジアで80%近いシェアを占める日本の自動車メーカーは、部品生産の現地化を進めると同時に系列化することで、一貫生産のビジネスモデルを維持しています。主要部品を最適国で大量生産することで規模のメリットを追求し、AFTA(ASEAN free trade area)の域内貿易を通じて完成品に組み立てます。
国際分業は、あくまでもWIN-WINの関係が基本です。技術力を持つ日本のメーカーが進出することで、途上国の段階的な経済発展を促しているのです。
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先生情報 / 大学情報
立命館アジア太平洋大学 国際経営学部 教授 夏田 郁 先生
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