他人任せで生きる困ったやつ? 種の進化が生んだ寄生植物の不思議

他人任せで生きる困ったやつ? 種の進化が生んだ寄生植物の不思議

植物の栄養を奪って生きる

多様な進化を遂げてきた植物の中でも、ほかの植物から栄養をとって生きる植物が「寄生植物」です。自分で栄養を作らず、ほかの植物の根や茎に巻きついて栄養を取り、花を咲かせて子孫を増やします。その種類は多く、なかには根を持たないものや、光合成を行う葉緑素を持たないものも発見されています。
寄生植物は、ネナシカズラをはじめ日本国内にも生息しています。アフリカや地中海沿岸、中東、南米、オーストラリアといった地域では、農作物への寄生が多く見られ、野菜や果物の生育が遅れたり枯れたりしてしまうなど、数兆円規模の深刻な被害が出ています。

相手の細胞とつながる特異な生き物

茎に寄生するものは植物から出る揮発性物質、つまりにおいを感知して寄生を始め、土の中で寄生するタイプは、根から染み出すホルモン状の物質を感知して発芽を誘導しているとされています。寄生の仕方にはさまざまな方法があり、茎に巻きついたり根にくっついたりした後、「吸器」と呼ばれる器官を相手に挿入し、そこから栄養を得る例が多く見られます。相手に刺さるだけでなく、接している細胞同士がつながる点が寄生植物の特徴で、細胞の中身である「細胞質」が異なる植物の間でつながることは、生物全般でも極めて珍しい現象です。

寄生植物を通して触れる生物の不思議

寄生植物への対策は世界中で進められています。「防除(予防と駆除)」という観点からは、寄生生物のメカニズムを解明し寄生を誘引する物質を特定することで、付着を防ぐ方法が研究されています。また、寄生植物への「抵抗性」の研究も進んでいます。自然の変異ではできない変異体を多数作って寄生植物に強い個体を探し、そこから取り出した遺伝子を活用する方法も試みられています。
寄生生物の研究にはゲノム情報がフル活用されて解明が進められていますが、細胞間のやりとりや、においを感じて巻きつくといったマクロな現象も含め、生物学における未知の問題が多数存在しています。

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先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 農学部 応用生物科学科 教授 青木 考 先生

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生物学、ゲノム科学

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メッセージ

どんな学問にも国語力が必要とされます。さまざまな議論をしたり、自分の考えを筋道立ててまとめたりする能力に国語力が大きく関わっているので、ぜひ高校生のうちから養成してください。また、ものごとをなるべく広くとらえることも意識してほしいです。例えば、大学でデータを取る際に、最低限の範囲から取るのか、全体の状況を見ながら広めに取るのかで、大きく成果が異なります。
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