「経営にかかるお金」をクローズアップしてみよう
お金から企業経営を考える
買いたいものがあるとします。あなたはまず値段を見て、次に財布の中を確認し、お金が足りなければどこからどうやってお金を得るかを考えるでしょう。企業経営も同じです。
経営学の視点で見る経営資源は4つ、「ヒト、モノ、カネ、情報」です。その中で、新たな事業への挑戦や継続に必要なのは、お金です。何にどれほど必要か、どこから資金を得るか、その資金を調達するのにかかるコストはどれほどかなど、企業においては明確な数値基準が必要です。それらが整って初めて効率的な資金調達や投資決定ができますし、「このエリアに出店しよう」「販売にもっと力を入れよう」などと経営上の意思決定が可能になります。
変わってきた日本企業
これまで日本企業の資金調達は、銀行からの借り入れがほとんどだったため、企業は調達のためのコストに対する意識が希薄でした。また、株式は企業同士で持ち合う法人株主が多く、個人株主が少なかったという事情もあります。それに、そもそも銀行からの借り入れが増えれば、倒産リスクも高まります。
しかし近年、資金調達が銀行中心から株式市場中心に変化し、また海外投資家をはじめ日本でも個人投資家が増えました。企業は、彼らが期待する利益やメリットを意識した経営を行う必要が出てきたのです。
成功の方程式がない
そうした変化から、どの機関からどのくらいの割合で借り入れするかといった「最適資本構成」を、企業自ら考えなければならなくなりました。さらに「企業は従業員や株主、地域住民のもの」といった考え方も出てくるなど、企業や企業を取り巻く人の意識も変化しています。
企業は社会構造や労働者、また消費者の価値観の変化に適応しながら、これからも変化していきます。むしろ社会構造的な変化に適応しないと、うまく生き残れないでしょう。それに対し、経営学はまだ歴史が浅いため、「こうしたら成果が出る」「うまくいく」といった方法を示すことができていないところがあり、これからの課題となっています。
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東海大学 文理融合学部 経営学科 講師 中原 康征 先生
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