講義No.08771 応用化学

私たちの未来を切り拓いていく「全固体電池」

私たちの未来を切り拓いていく「全固体電池」

電池は生活に不可欠な存在

電池は生活に欠かせないものとなっています。子どもの頃のおもちゃに始まり、スマートフォンやモバイルパソコン、また、自動車のエンジンを始動させるときにも電池は必要です。電池には、乾電池のように、使い切ったら終わりの1次電池と、車や携帯電話のバッテリーのように、充電して何度も使用できる2次電池があります。
電池は、主に正極、負極、電解質の3つから構成されています。正極と負極は固体ですが、電解質には可燃性の液体が使用されています、そのため、液漏れや発火の危険性があり、ときには重大な事故につながることもあります。

エネルギー・環境問題の解決へ

新たに開発が進められているのが、電解質も固体でできている「全固体電池」です。全固体電池は、正極、負極、電解質のすべてが固体で構成されています。発火などの危険がないため、高い安全性を要求される電気自動車などの大型のバッテリーへの応用が期待されています。また、電気自動車が普及することで、エネルギー・環境問題の解決につながることも期待できます。
電解質を固体にすることは、事故を防ぐ以外にも利点があります。液体の電解質よりも高い電圧が出せるのです。つまり、電池の性能が良くなるということです。それは、より小型にできるということでもあり、小型化すれば、今まで搭載できなかったような製品に電池を搭載できるようになります。

原理を解明することの重要性

実用化に向けての研究も大事ですが、電池の原理についての基礎的な研究も非常に重要なものです。電池は、正極・負極と電解質の間をイオンが移動することで発電します。電解質が液体だとイオンの移動はスムーズですが、固体にすると接触面にすき間ができてしまい、イオンが移動しにくくなることが課題となっています。つまり、固体の表面や界面で分子やイオンがどんな動きをするのかを解明することが、何度充電しても劣化しない、性能の良い全固体電池を作るための鍵となるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

日本工業大学 基幹工学部 応用化学科 教授 白木 將 先生

日本工業大学 基幹工学部 応用化学科 教授 白木 將 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

電気化学、表面科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生のあなたにとって、どうしても今やらなければならないことはないと思いますが、「少しでも興味を持ったら、とにかく調べてみる」ことを心がけましょう。読書でもインターネットでも、情報はいくらでもあります。
私は小さい頃から学者になりたいと思っていて、考古学にも興味がありましたが、考古学者になるためにどうすればいいのかは調べませんでした。その頃きちんと調べていれば、違う道に進んでいたかもしれません。少しのきっかけと行動であなたの将来は変わるのです。自分から動いて調べることを心がけてみてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

日本工業大学に関心を持ったあなたは

「We do have!ー日本工大は持ってる!ー」
私たちがこれまでに大切にしてきたこと、素晴らしい財産をもっていることを、みなさんと共有したい、その合言葉が「We do have!」です。

基幹工学部、先進工学部、建築学部を設置する日本工大には、ここでしか得ることのできないさまざまな魅力があります。

1学年から技術と合わせて理論を学ぶ「デュアルシステム」や、実工学を学ぶ礎となる「工学基礎教育」など、本学独自の学修システムで、「学び続ける技術者」を育てます。