人と人をつなげる通信サービスを大勢に届けるための工夫
Twitterから需要を予測
データサイエンス分野の研究の一例として、インターネット上のビッグデータの一つであるTwitterのつぶやきを言語解析することで需要を予測する研究があります。映画公開前の期待やアニメ放映前の高評価が多ければ、興行収入や新刊の売り上げが伸びる傾向にあるため、ポジティブなツイート数を把握して予測に反映させます。実際の売り上げ数とツイートによる評判を照らし合わせた時系列データを機械学習することで、予測精度を上げることができます。事前に需要を把握できれば、より多くの人に商品やサービスを届け、売り上げを伸ばすことにつながるのです。
マーケティングと通信の共通点
こうしたマーケティングにおける時系列データに基づく需要予測は、通信の世界でも重視されています。安定した通信サービスを提供するためには、ネットワークの設計に加えて、運用中のデータ測定と分析が重要です。測定データから需要の変動や将来の需要を予測し、迅速な制御や追加の設備投資をすることで、多くの人が快適にインターネットなどの通信サービスを使うことができます。
予約システムで混雑改善
普段は安定したサービス提供ができていても、ときには需要が供給量を大きく上回ってしまうことがあります。例えば東日本大震災では電話回線に約50倍もの需要が発生し、大混雑が生じました。
この原因のひとつが、何度も電話をかける人が続出するリダイアルです。そこで提案されているのが、被災地域への回線が混雑しているときは、かかってきた電話を予約サーバにつなぎ、希望通話時間を登録してもらう予約型制御システムです。一度電話を切った後、希望通話時間の短い人から順にサーバ側から電話をつなぎます。予約による安心感を得られるとリダイアルが無くなり、より多くの人の電話を効率よくつないで、直接会話をして安否を確かめたいという希望をかなえることができます。将来に向けては、人だけでなくあらゆるモノがインターネットにつながるIoTの混雑を解消する研究も進められています。
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先生情報 / 大学情報
日本工業大学 先進工学部 データサイエンス学科 教授 吉野 秀明 先生
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