日本の林業を救う、森林作業支援ロボット
機械化が遅れている日本の林業
日本の林業は機械化が遅れていると言われています。日本の山は、急峻(きゅうしゅん)で複雑な形状をしており、地盤も柔らかいため、大型機械による作業には向いていません。海外の森林は、なだらかな地形に、木も1本1本が大きく、機械化して効率よく木材を得ることができますが、その機械が日本でも同じように使えるわけではないのです。日本の森林の4割は人工林なのですが、一度手を入れて作った人工林は、継続して人の手で世話をしなければどんどん荒れてしまいます。とはいえ、それには大きなコストや手間がかかってしまうというのが、日本の森林全体の問題にもなっています。
ネットワークを生かした機械化
日本の森林に大型機械は向いていませんが、人間の手を少しでも助けてくれる作業支援ロボットがあれば、効率は大きく変わるでしょう。例えば、伐採の作業は、何人かで手分けして行いますが、森林では携帯電話の電波が入らないので、作業員はトランシーバーを使って互いに居場所を確認しながら作業しています。それでも、倒木によってケガをする事故などが絶えません。それを、GPS(全地球測位システム)を利用して各人の位置を把握し、お互いが接近するとアラームが鳴るなどのネットワークシステムを作れば、そうした事故が防げるのです。
ひとつの作業だけでなく、トータルで考える
枝を切り落とす「枝打ち」という作業に関して言えば、人間の代わりにやってくれるロボットは実現できています。しかし、林業においてはさまざまな工程があるので、一つひとつの作業に対応するロボットより、トータルの作業をサポートできるシステム作りを考えなければ本当の支援はできません。各工程での作業支援ロボットに、センサー技術と通信技術を組み合わせ、全体の作業を連携するネットワークを構築して情報的に支援するのです。作業支援と情報支援、それがこれからの日本の林業に必要とされる機械化だと言えるでしょう。
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