人工知能に「空気を読む」力を与えれば、コンピュータと会話できる?
人間にできて、コンピュータにできないこととは?
友人が、「おなかが減った」と言い出したら、どんな返事をしますか。「おなかが減った」という言葉には、何をしてほしいとか、何を知りたいといった情報は含まれていません。しかし人間同士が会話するときは、その場の状況や相手との関係性など、さまざまなことを考え、「何か食べて帰ろうか」とか「近くにおいしいスイーツのお店があるよ」など、相手が求めているであろう情報を「言語」としてやりとりします。ところが、コンピュータを相手にそうした言語コミュニケーションを図ろうとしても、現在の技術では非常に困難です。
スムーズな受け答えは「ルール」のおかげ
「A大学を受験したい」と、スマホの検索機能に入力してみてください。大抵は、その大学までのアクセスや公式サイト、大学評価の分析サイトなど、雑多な情報が一覧表示されるでしょう。では、同じことを高校の進路指導の先生に話したらどうでしょう。おそらく、合格難易度や通学のしやすさなど、別の適切な情報を提供してもらえるはずです。先生の頭の中には、「こういうことを尋ねる生徒は、この情報を求めているはず」という「ルール」が出来上がっているので、スムーズな会話ができるのです。
将来「会話できるコンピュータ」が完成する?
そこで、人工知能に会話のルールを覚えさせ、人間と言語コミュニケーションをとれるようにする研究が進められています。しかし「会話のルールを覚えさせる」という作業は簡単ではありません。冒頭の「おなかが減った」を例に挙げても、返事の選択肢が幾通りもあるからです。
そこで近年は、Webページなどの膨大な情報を読み込ませる「機械学習」によって内容やジャンルなどを分析し、会話のルールを見出させ、問いかけに対して最も近い状況を選び出して「返事」をさせようという研究が進んでいます。この分野の研究が進めば、近い将来、人間と同じように会話できるコンピュータが登場するかもしれません。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
九州工業大学 情報工学部 知能情報工学科 教授 嶋田 和孝 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
知能情報学、言語処理工学、電子情報通信学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?