コンピュータネットワーク内で「うまく」データを届けるための技術
ネットワーク上を流れるデータを交通整理
オンライン授業などで、遠くにいる人の音声や動画が遅延なく、途切れず、滑らかに届くために、どんな技術が使われているのでしょうか。
発信元の端末から目的の端末にデータを送るには、たくさんの経路があります。カーナビが複数ある目的地までの経路の中から最速のルートを選び出すように、膨大なデータが渋滞を起こさず、目的地に着けるように経路を制御するさまざまな技術が開発されています。
順番を譲り、仲間の到着を待つことも
コンピュータネットワークには「中継器」があります。そこに一時データをためて、時間がかかりそうなものは後回しに、リアルタイム性の高いものは優先的に送るといった作業をしています。音声や動画のデータは、ひとかたまりではなく、小さく分割して送られます。動画の冒頭のデータが速く送れても、次のデータとの間が空いてしまうと、ブツブツ途切れてしまいます。それよりは一定の速度で届いた方が都合がいいので、そういうことも考慮した、複雑な制御を行っているのです。
モバイルアドホックネットワーク
コンピュータネットワークは、有線/無線、端末の種類、中継局やアクセスポイントの有無といった幾つもの軸で分類されます。それぞれに固有の技術があり、組み合わせによっても必要な技術が異なります。
組み合わせの一つに、「モバイルアドホックネットワーク」があります。ノートパソコンやスマートフォン、センサといったバッテリー駆動型の機器が無線でつながるネットワークです。災害発生時など、インターネットにつなげられない状況で、地域の端末を直接つないで連絡をするような用途が想定されます。このようなネットワークでは、機器の移動や障害物等による電波状況の変化に対応してデータを送ることや、通信だけでバッテリーを使ってしまわないような工夫が必要になります。また、ネットワーク内で分散管理されているデータの改ざん防止や安全性の担保を、少ない計算量で行うことも必要です。そのための技術の研究も進められています。
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