「医療×データ」で未来を変える!

数字から見える社会の変化
医療に関する統計には、たくさんの数値が載っています。ただし、それは単なる「数字の集まり」ではなく、その背景に人々の行動や社会の変化があります。例えばコロナ禍では、感染者が増えたり減ったりするたびに外来や入院する人の数が大きく変わりました。その結果、病院の経営にも影響が出て、倒産する病院もあったほどです。
こうした統計データは、病院の毎日の運営にも役立っています。例えば、インフルエンザの流行に備えて薬をどれだけ注文するかは、過去の感染状況をもとに予測して決めています。統計は、病院の医療の質を上げるために欠かせないツールなのです。
医療の質を数値で「見える化」する
医療分野では、医療の質を数値で評価するための指標もあります。「平均在院日数」は、患者が入院している平均の日数を示すものです。この日数には国が決めた目安があり、病院はそれを参考にしています。また、病院の収入である「診療報酬」にも関係する重要なデータです。ただし、病院は一般の企業と違い、利益を出すことが主たる目的ではありません。統計は「どれだけもうかったか」だけではなく、「どれだけよい医療ができたか」を測るために使われます。統計は、医療の質を見直すためのヒントを与えてくれるのです。
情報が未来の健康をつくる
今注目されているのが、「予防医学」という考え方です。これは、病気になってから治すのではなく、病気になる前に防ぐことをめざすものです。例えば、ゲノム情報や、薬の服用履歴、生活習慣などをもとに、個人に合った予防方法を提案できるかもしれません。さらに将来的には、医療統計を使って病気のリスクを自動的に予測し、「今日どんなことに気をつければいいか」と言った健康のヒントを教えてくれる仕組みの実現も考えられます。これは、国の大きな課題となっている「医療費の増加」を抑える手がかりにもなるでしょう。医療と情報の連携は、未来の社会を変える力になると期待されています。
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東北福祉大学健康科学部 医療経営管理学科 准教授佐藤 達也 先生
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