まちのデザインをサポートする陰の実力者、その名はGIS
まちのどこに駐車場を造ればよいか?
都市計画、いわゆるまちづくりをするときには何から始めるでしょう。住宅エリアをどこにするか、ショッピングゾーンは、病院は、学校は? どこに何を造るか、計画地の地図を使ってプランを練るのがまちづくりの第一歩です。例えば交通環境を考える場合、近頃の郊外型住宅地では、鉄道の駅近くまで自家用車で行き、駐車場に車を停め、そこから電車に乗って会社などへ向かう「パーク&ライド」スタイルが増えています。では、どこに駐車場を造ればいいか検討するには、どんな情報が必要でしょうか?
さまざまな情報を空間データに重ね合わせて分析
まずは駐車場と駅との距離が重要なファクターで、離れすぎていれば利便性が低くなります。駐車場が幼稚園や小学校に隣接していると、多くの車が出入りするので安全面で問題になります。地形も大切で、急傾斜地だと建設コストがかかります。また、すでに建物が密集しているような場所は不適当で、できれば工事をしやすい農業用地などが理想です。これら多くの要素を地図上で総合的に分析し、プラン決定に大きな役割を果たすのがGIS(Geographic Information System)です。
紙の地図では不可能な情報量を盛り込める
GISは、ある空間に関わるさまざまな情報を、コンピュータ上で1つの地図のうえにのせて、総合的に管理・加工・分析し、迅速な判断ができるように表示をしたり、条件別によって分析結果を抽出したりできるシステムです。紙の地図には書き込めないような大量の情報を何層も盛り込んだデジタル地図です。駐車場の例なら、地図に地形や交通条件、土地利用状況などのデータなどを組み合わせれば、どこに駐車場を造るのが一番効率的かがわかります。また、「とにかく駅に近い場所に造りたい」など、要望に最も合う場所を選ぶこともできます。GISはまちづくりに広い観点を取り込み、まちをデザインするベースになる注目の技術です。
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大阪公立大学 文学部 人間行動学科 准教授 木村 義成 先生
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