未来開拓型の教育(ESD)と地理学

未来開拓型の教育(ESD)と地理学

この世は持続可能ではない?

「世の中おかしいよな~、こんなんじゃ駄目だよなぁ」と思うことってありませんか? 長い目で見ておかしいと思うことは、変えなくてはいけません。しかし、変えていく行動に積極的に踏み出す人は、そんなに多くありません。
社会の未来をつくっていく人を育てるESD(持続可能な開発のための教育)について、地理学の観点から見てみましょう。

高校「地理」と大学「地理学」の違い

地理学といえば「地理」の授業を想像する人が多いと思います。人によっては暗記科目のイメージが強いかもしれません。しかし、地理学の基本は「あそこに行ったら何がある? それはなぜ?」「ここはどんなところ?」にあります。
例えばコンビニなら、人や車の動線、周辺住民の構成などで立地も商品も変わります。中心市街地が寂れているとしたら、なぜでしょう。あなたの地域が冬寒くて夏暑いなら、それはなぜでしょう。山奥や離島や、沙漠や豪雪地域に人間の暮らしがあるのも理由があるし、各地域の自然環境や社会環境に即した暮らしの工夫があります。これらすべてが地理学の研究対象です。地理学を学ぶと、どんな地域にも特徴が見つけられるようになります。地域の課題や可能性も見えてきます。

地域の個性を地球の未来につなげよう!

とはいえ、地域の個性を把握しただけでは世の中は変えられません。さまざまな立場・境遇の人々に出会い、それぞれに合った形で働きかけることが必要です。教育は重要な手段のひとつです。
人間は自分の触れてきた環境を基準にものを考えます。ずっとタワーマンションで育つとそれが普通に思えますし、海辺の漁村で育つとそこの風景が当たり前に感じられます。そして価値観はさまざまです。誰かにとって特別な地域が、違う人はつまらないと感じる場合もあります。
だからこそ、出会いと、未来志向の学び合いが大事です。多様な地域から成り立つこの地球上で、私たちはこれからどう暮らしていくか? それを考え合い、社会の未来をつくっていく人を育てるのがESDです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

奈良教育大学 教育学部 教科教育専攻 社会科教育専修 准教授 河本 大地 先生

奈良教育大学 教育学部 教科教育専攻 社会科教育専修 准教授 河本 大地 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

地理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私たちの研究室のテーマは、「地域多様性」と「出会い」。限界集落と呼ばれてしまうような農山村地域でフィールドワークをします。高齢者とも若い人とも子どもとも会って話し、五感で地域に学びます。
この学びは、地球に暮らす私たちの未来につながっています。なぜなら、その地その地の自然環境に即した暮らしが最も環境保全につながるし、そこで工夫を凝らして暮らす人々は持続可能な社会づくりのヒントになるからです。そして、さまざまな境遇や立場にある人との出会いが、自分の可能性を広げてくれます。大学の学びは「出会い系」!

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

奈良教育大学に関心を持ったあなたは

奈良教育大学は、高い知性と豊かな教養を備えた人材、とりわけ人間形成に関する専門的力量を備えた有能な教員及び教育者を育てることを目的としています。そのため、教育に対する関心と教職への意欲がある人、子どもへの関心を持ち、共感できる人、豊かな基礎学力と幅広い問題への関心を持ち、自分の探求したい得意分野がある人、そんな皆さんの入学を心からお待ちしています。
授業の6割が20人以下という少人数教育、県内学校等との連携による体験型キャリア教育を通して、伝統文化遺産に囲まれた古都・奈良で教員を目指しませんか。