子どもを中心に考える、スウェーデンの保育環境って?

「昼間の家庭」とよばれていた保育施設
かつては“家庭的な環境”を基盤としていたスウェーデンの保育施設は、現在、創造的な遊びが生み出される空間として、教育的な役割が重視されています。ただ、ゆったりとくつろげるソファー、シンプルで機能的なデザインのテーブルや椅子があったり、自然物を取り入れたり、あたたかさが感じられる空間が特徴です。そして日本では一部屋で完結する保育施設が多いのに対して、スウェーデンでは食事場所や遊ぶ場所など、家庭と同じように活動ごとに空間が分けられています。
ゆるやかに新しい環境へ
進学や就職など、新しい環境に移る時には、誰もが心身に負担を感じます。子どもが保育園に入園する時も同じです。保育園で過ごす時間を段階的に増やすなど、日本でも慣れるまでの移行期間を設けることはありますが、園ごとにその取り組みはさまざまで、統一されてはいません。
一方スウェーデンでは、1週間程度、子どもと保護者が保育施設で食事も含めて一緒に過ごすなど、子どもたちが新たな環境にゆるやかに移行できるような配慮が当たり前とされています。スウェーデンは「児童の権利に関する条約」の成立に尽力した国の一つで、保育におけるさまざまな場面でも「子どもを中心に考えること」が第一に置かれているのです。
よくないとわかれば、すぐに変える
スウェーデンは情報通信技術(ICT)の先進国で、保育でも早期にデジタルデバイスが導入されました。ところが近年、デジタルに頼らないアナログな経験の重要性が確認されると、絵本や体操など直接体験や身体活動を重視する方向に再び変わりました。社会の背景に違いはあるものの、こうした柔軟で迅速な姿勢から学ぶ点は多く、日本の保育環境を見直す手がかりになります。
日本の保育現場でも、すでに子どもの主体を尊重する実践は行われています。今後は保育者の負担を軽減しながら、一人ひとりの育ちに丁寧に向き合える保育環境の整備が、より一層求められるでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
