世界が注目する「希少糖」って、どんな働きがあるの?
さまざまな可能性を秘めた夢の糖「希少糖」
自然界にわずかしか存在しない、さまざまな糖のことを、まとめて「希少糖」といいます。ガムなどに使われている希少糖「キシリトール」はよく知られています。ある種の希少糖には、動脈硬化や血糖値上昇抑制作用、肥満などの予防効果があるとされ、食品や医薬品などへの応用研究や商品開発が進められています。希少糖を使った商品は、年々増えています。代表的なものの一つが、砂糖の7割の甘さがありながら、血糖値上昇を抑える効果などがあると言われている希少糖「D-プシコース」を含んだ甘味料です。ダイエットの心強い味方として人気です。
市販されている糖から希少糖ができる!
希少糖は、ブドウ糖や果糖といった自然界に多く存在する糖から作ることができます。微生物や微生物が持つ酵素が糖に作用し、その分子構造を変えることで、希少糖が生まれます。世界で初めて酵素を用いて果糖から希少糖D-プシコースが作られたのは、1990年頃のことです。香川県で、果糖に作用する新規酵素が発見され、果糖から「D-プシコース」を作り出すことに成功しました。そこからさまざまな微生物やその酵素が新たな希少糖の生産に応用できることを明らかにして、約50種類の希少糖を生産するための設計図「イズモリング」が考えられたのです。この発見により、手軽に買えるブドウ糖や果糖から、高価な希少糖を作ることが可能になりました。現在も、誰も見たことがない希少糖がどんどん作れるようになってきています。
さまざまな分野で糖が使われる!?
糖は、食品に使われているイメージが強いですが、医薬品や衣料品、さまざまな工業製品でもすでに活用されています。希少糖の機能はまだまだ研究段階のものが多く、さまざまな分野で使われている糖を希少糖に置き換えることができれば、さらに新たな機能や特性を備えた商品を開発する道が開けます。世の中の人々の生活をさらに豊かにするために、希少糖のさらなる活用が期待されています。
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先生情報 / 大学情報
香川大学 農学部 応用生物科学科 准教授 吉原 明秀 先生
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