花とは学問上は花卉の省略形

花とは学問上は花卉の省略形

花はとても不思議な存在

ふだん私たちが「花」と呼んでいるものは、園芸学的には「花卉(かき)」というものです。この「卉」という字は木と草が合わさってできた字です。常用漢字にはないこの字が園芸の世界で一般的に使われているのは、それなりの意味があるからです。文字としては「たくさんの草」を意味し、わかりやすく言えば草花ということになります。食べられない植物全般をさすと考えていいでしょう。あえて「草花」というのは花よりも葉が重要な植物もあるからです。
実際には、花卉とは観賞用植物を指し、取り扱う範囲は非常に広くなります。例えば菊にしても桜にしても、その種類はわかっているだけでも数百種あると言われています。つまり、同じ菊や桜と呼ばれていても品種が異なるということです。品種の違いとは、わかりやすい例としては、ソメイヨシノはほとんどの人が桜の品種として知っているでしょう。それよりも1カ月くらい早く開花するカワヅザクラは、同じ桜でも品種が違うということです。

趣味の観賞園芸と学問としての園芸

一口に園芸といっても学問上と一般認識とでは差があります。園芸というと、たくさんの花を作って、見て楽しむという趣味の範疇になってしまいがちですが、学問上では植物の生理生態や、遺伝や形態、栽培方法を植物学的に研究していくことを指します。
菊や桜の品種の多さもそうですが、「どうしてこの花は黄色なのか」というところから始まって、同じ植物であっても、その違いを見つけていくのが花卉園芸学です。また、同じ花作りといっても、栽培をしていく生産と新しい品種を作ったり見つけていく育種という違いがあるのです。

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先生情報 / 大学情報

千葉大学 園芸学研究科 生物資源科学コース 准教授 渡辺 均 先生

千葉大学 園芸学研究科 生物資源科学コース 准教授 渡辺 均 先生

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メッセージ

自分たちの身の回りにある自然に興味があって、生き物が好きであれば、園芸学部で学ぶことはたくさんあります。そして、学び始めれば必ず何かのめりこんでいくことが見つけられるようになります。花は栄養源ではありませんので、人間が生きていくために必ずしもなくてはならないものではありません。しかし、花を見れば心が安らぎ豊かにもなるのです。そんな、植物を研究していくことは、地道ではありますが、熱い思いで取り組めば取り組んでいくほど、研究材料は尽きないのです。園芸学とはそんな学問です。

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。