品種改良から花の色のメカニズム解明まで 園芸作物が面白い!

病気に強いアスパラガス
野菜や果物、花は毎日の暮らしの中にある身近な存在です。こうした園芸作物についてのさまざまな研究が行われています。
その一つがアスパラガスの品種改良です。アスパラガスは雨の少ない地中海地域の原産で、高温多湿な九州・中国・四国地方では雨除けのハウスで育てなければ、病気にかかって枯れてしまいます。生産者にとってハウスでの夏場の作業は厳しいため、病気に強い品種が求められていました。そこで着目されたのが、玄界灘の海岸沿いに自生する、アスパラガスと同じ属で病気に強いハマタマボウキです。アスパラガスとハマタマボウキとの交配を重ねることで、アスパラガスの特徴を持ったまま病気にも強い「あすたまJ」という品種が完成しました。「あすたまJ」に続く品種を作るため、現在も改良が進められています。
レンコンができるメカニズム
レンコンはハスの地下茎(根茎)が肥大したもので、地下茎が7~8メートル伸びてから先端の部分が太くなります。このメカニズムについて調べられました。一般的なレンコンは栽培に大きなスペースがいるため、ハスの種子から育てたミニレンコンで実験したところ、地下茎の肥大には日照時間が影響していることがわかりました。つまり秋になって日が短くなると、地下茎を太らせて冬ごもりの準備を始めるわけです。この研究成果から、レンコンの栽培時期を制御できるようになることが期待されます。
花弁が白く縁取られる不思議
日本原産のヤブツバキの突然変異種である「玉之浦」は、覆輪と呼ばれる白い縁取りが入った花弁が特徴の珍しい品種です。なぜ同じ花弁で色の違う部分ができるのでしょうか。研究により、花の中央では正常に赤い色素のアントシアニンが作られているのに対し、縁の部分ではアントシアニンの合成過程で一つの酵素の遺伝子が働かなくなり、合成が止まっていることがわかりました。また、「玉之浦」の開花時期は1月から3月ですが、遅く開花した花ほど白い部分が少なくなるため、その仕組みの解明にも取り組まれています。
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九州大学農学部 生物資源環境学科 生物資源生産科学コース 教授尾崎 行生 先生
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