コンピュータがあなたの言葉に合わせて作曲します
データサイエンスとは何か
現代社会には、Webなどのネットワークを通じて蓄積された、膨大な量のデータが存在します。そうしたデータを人工知能(AI)などのさまざまな手法によって解析し、必要な要素を抽出して活用するような学問を「データサイエンス」と呼びます。囲碁や将棋などで人工知能がトップレベルの棋士を上回る強さを発揮した例でも、棋譜を大量に読み込んでデータ分析し、勝つパターンを深層学習(ディープラーニング)する手法が使われています。
データから作曲の仕方を学習させる
音楽のように創造性(クリエイティビティ)が要求される分野でも、人工知能を活用する研究が進んでいます。従来のDTM(デスクトップミュージック)は、打ち込まれた楽譜をコンピュータがその通りに演奏するというものですが、最近では、膨大な量の音楽データをコンピュータに読み込ませ、テーマやキーワードに応じて、その印象に合った作曲の仕方を学習させるといった活用法が研究されています。
例えば、コンピュータに「桜」というキーワードを入力すると、過去の「桜」をモチーフとした楽曲の分析に基づいて、桜の花を思い起こさせるメロディを作曲するというレベルのことは、すでに実現されています。しかもこのコンピュータなら、数秒あれば文字通り無数の曲を生み出すことができるのです。
人間とコンピュータのこれから
音楽とは、人がそれを聴いて心を動かされることによって初めて成り立ちます。人工知能で作曲を習得したコンピュータが作り出した音楽も、過去の音楽のデータから学ぶという新しい形で作り出された音楽作品と言えます。では、人間の作曲家の存在価値はなくなるのかというと、そんなことは全くありません。コンピュータは、社会の中で人間を助けるための存在です。人間とコンピュータは、協力し合うことで創造性(クリエイティビティ)を最大限に発揮することができます。両者の関わりは、今後ますます密接になっていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 中西 崇文 先生
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