ポストコロナ時代に求められるブリコラージュ的思考を備えたチーム力
「ブリコラージュ」とは
新型コロナウイルスの流行によって「新たな日常」の中で生活することが強いられています。予期せぬ事態が頻発する「新たな日常」で活躍できるのは、どんなチームでしょうか? そのヒントはフランスの人類学者、クロード・レヴィ=ストロースが提唱した「ブリコラージュ」にあります。これは「寄せ集めて自分で作る」を意味する言葉です。
例えばペットボトルは飲料を保存するための道具ですが、無人島でサバイバルする場合、中に砂利を詰めて水をろ過することもできます。このように、道具がつくられた本来の目的にとらわれず、予期せぬ事態に応じて使うことをブリコラージュといいます。そして、現代のチームにおいては、「信頼」と「知識」が最も重要な道具となることが分かっています。
SWATのチーム力
アメリカのある研究は、予期せぬ事態への対応に秀でたチームの例として、SWAT(警察特殊部隊)を挙げています。犯人が武器をもって立てこもっている部屋に突入する場合、事前に打ち合わせを行いますが、いざ突入してみると想定よりも人質の数が多いといった不測の事態に直面します。そんなときに事前に決めた約束事や役割分担に固執していると命を失いかねないため、各自が柔軟に役割や手続きを変えることで対応します。こうした判断をとっさに行うには、メンバー間の強い「信頼」と、自分以外のメンバーがどんな仕事をするのかという「知識」が不可欠なのです。
当たり前に備わっていたはずの力
例えば高校の文化祭でたこ焼きの店を出すとします。急にたこの在庫が切れたとしても、クラスの誰が何の係で、その仕事の内容をクラスの皆が知っていれば、誰が買い出しにいくべきなのか、すぐに判断できるはずです。
しかし、私たちは大人になり、ルールや役割分担といったものを学ぶうちにこうした力を失ってしまいます。平常時はルールや役割分担を遵守することが強みになりますが、これまでのやり方が通用しない「新たな日常」では、ブリコラージュ的な柔軟性を備えたチーム力が求められるのです。
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武蔵野大学 経営学部 経営学科 准教授 宍戸 拓人 先生
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