世の中のさまざまな問題を解決する、サプライ・チェインの研究とは?

世の中のさまざまな問題を解決する、サプライ・チェインの研究とは?

サプライ・チェインにできること

サプライ・チェインとは、ある商品が、原材料の段階から製造や物流を経て消費者の手に届くまでのすべての過程のことを指します。サプライ・チェインについて何も考えずにビジネスを進めてしまうと、余分な在庫を抱えたり、逆に商品が足りなくなったり、物流で大きな無駄が生じたりします。最適なサプライ・チェインを構築すると、例えばコンビニ業界では、商品配送に使うトラックの数を減らして、必要経費を大幅に減らすことなどが可能になります。

最適な組み合わせを見つけるために

わかりやすい例を挙げてみましょう。1人の巡回セールスマンが、1日のうちに何カ所かの得意先を1回ずつ訪問する時、最短距離で効率よく回れる順番について考えます。その最適な回り方はコンピュータを使えば計算できるのですが、訪問先の数が増えると、その回り方の組み合わせの数は急激に増えるため(組み合わせ的爆発)、すべてを計算することはコンピュータでも次第に困難になっていきます。この計算に組合せ最適化のアルゴリズム(コンピュータの演算規則)を導入し、すべての組み合わせを計算しなくても最適な回り方をうまく導き出せるようにする研究は、今も世界各国で行われているのです。

人道支援の分野での応用に期待

こうした研究に基づくサプライ・チェインの改善は、社会のさまざまな問題を解決する糸口にもなります。中でも最近注目されているのは、災害時の人道支援の分野です。東日本大震災の時には、被災地の避難所への救援物資の輸送がうまくいかなかったケースが数多く報告されています。いざという時のために救援物資を安全な場所に備蓄し、災害発生時にそれらを迅速に避難所に輸送する仕組みを作り上げるには、最適なサプライ・チェインを構築する際の考え方が不可欠なのです。こうした人道支援の分野での研究はまだこれからという部分も多いため、より効率的で安心できるシステムの確立が期待されています。

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東京海洋大学 海洋工学部 流通情報工学科 教授 久保 幹雄 先生

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メッセージ

あなたが高校で勉強している内容には、「どうして今、こんなことを勉強しているんだろう」と思えるものもあるかもしれません。でも、高校生の頃に好き嫌いをせず基礎的な勉強をしっかりしておくと、後になって役に立つ時が必ず来ます。また、特に興味のある分野については、インターネットなどを活用して、自分で情報を集めて勉強してみてください。これからの国際社会に向けて、英語を学んでおくことは大事だと思います。

先生への質問

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東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。