オペレーションズ・リサーチで問題に取り組む

オペレーションズ・リサーチによる数理モデル
社会で取り組むべき問題で重要なことは、最も大事な内容をうまく解けるように「問題を解く仕組み」をつくることではないでしょうか。例えば、工場ではなるべく部品の在庫を少なくしたいけれど、部品が切れて生産が停止したら大きな問題になります。在庫を最小限にしながら、部品切れにならない在庫管理方法を考えなくてはなりません。これを数理モデルをつくってコンピュータで計算し、最適解を導き出すのが「オペレーションズ・リサーチ(OR)」です。数理モデルとは、取り組む問題から本質的なところを取り出して、問題解決の枠組みを組み合わせてつくる、計算の枠組みです。
最も売り上げが上がる立地は?
小売業では、ある地域のどこに店舗を新設したら、最も高い売り上げが見込めるかを見極めるのが重要で、それをORで導き出すための大学と企業の共同研究もよく行われています。その企業が集めた過去の売り上げ、その地域の人口、年齢層など既存のデータを用います。また、出店したいエリアの駐車場や幹線道路からの距離など、売り上げに関係する複数の要素を数値化し、数理モデルに入れて計算します。立地選定の場合、確率統計の中の「重回帰分析」を中心にして数理モデルがつくられます。
過疎化した地域を救え!
今、注目されているのが、過疎化問題です。日本は少子高齢化が進み、過疎化地域では複数あった公共施設が閉鎖したり、バスの運行が少なくなったりと、不便になってきています。それをORで解決しようとする研究が行われています。
人口減少はこれまで日本が体験してこなかった問題のため、解決方法の前例がありません。また、過疎地は都会と違ってライブカメラなどもほとんどなく、様子を知るには現地に行って情報収集する必要があるなど、調査の段階からして簡単ではありません。それでも現在、そうした地域のデータ収集も始められており、より多くの住民にとってアクセスのよい公共施設の立地や、バス運行ルートを決定するOR手法の研究が始まっています。
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