重力が持つ性質は謎ばかり?
世界には重力を含めた4つの力が存在する
「重力」は身近に存在する力ですが、実はこの重力については現代の素粒子物理学でもよくわかっていないことが数多くあります。
世の中には重力を含めて4つの力が存在します。まず、「電磁気力」は文字通り電気や磁気に関係する力で、日常にある重力以外の力はこの電磁気力と言えます。そして、「強い力」と「弱い力」です。これらは核力とも言われます。前者は原子核を作るための力で、陽子、中性子から構成されている原子核がバラバラにならないよう束ねている力のことです。後者は、原子核の変化を引き起こす力の1つです。太陽や原子炉のエネルギーは、原子核が変化するときに発生するエネルギーがもとになっています。最後に「重力」ですが、ほかの力と比べて大きく異なる性質を持っています。
重さの異なる物体が同時に落下することの不思議
ピサの斜塔でガリレオが行ったと言われる有名な実験では、重さの異なる2つの玉でも同じ時間をかけて落ちるという結果になりました。空気抵抗を考えなければ、重力のもとでは質量の異なる物体も同じように落下するということは、学校で習ったかもしれません。質量とは「動きにくさ」を表す値であるので、電磁気力においては質量が大きいものの方が動きにくくなります。それにもかかわらず、重力下では、質量の異なる物体でも同じように落下するという結果になるのです。
素粒子物理学でも解明できない重力
物体の動きにくさを表す質量を「慣性質量」、重力にどれくらい引っ張られるのかを表す質量を「重力質量」と言います。両者はまったく異なる概念なのですが、なぜか等しいものとして現れます。この性質を「等価原理」と呼び、そこからアインシュタインの「一般相対性理論」が生まれました。
しかし、現代の素粒子物理学ではこの重力をうまく表現することができません。誰もが当たり前に感じている重力ですが、まだまだ最新の物理学をもってしても、実はわからないことだらけなのです。
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東京大学 理学部 物理学科 助教 神谷 好郎 先生
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