原始宇宙はどんなもの? 究極の謎を解く

原始宇宙はどんなもの? 究極の謎を解く

宇宙も進化してできた

私たちの宇宙は、ビッグバン(宇宙の始まりの大爆発)によってできたというのはよく知られています。宇宙が生まれたときは、今の宇宙とは全然違っていたのです。生物がだんだん進化してきたように、実は宇宙も進化してきました。ビッグバンの直後の原始宇宙の世界では、今ある原子のようなものはなく、バラバラの素粒子(物質の基本構成要素)だけが存在していました。宇宙の始めは、この素粒子が飛び交う世界でした。その後、宇宙がだんだんと冷えていくに従って、陽子や中性子ができ、これらから原子核が、そして原子核と電子が結びついて原子ができました。原子が集まって星が生まれ、銀河が生まれ、今の宇宙ができ上がったのです。

宇宙共通の普遍的なものを追う物理学

物理学では「世界ってこんなふうにできているのかな」と頭の中で考えたことを数式で表し、現象を予言していきます。そして実験によりそれを試し、予言がどこまで正しいのかを調べていくのです。スイスとフランスの国境にある世界最大の実験施設LHC(大型ハドロン衝突型加速器)では、世界中の人たちが素粒子の謎と宇宙の始まりの謎を調べるために現在実験が進行中です。法律や言語は、国が変われば違いが出るものですが、物質は世界中どこへ行っても変わりません。世界どころか、宇宙共通の普遍的なものです。物理学は、世界中の人たちと宇宙の始まりのような普遍的なことがらについて考えることができる、壮大なスケールの学問なのです。

知性の限界に挑戦! 根本から探る素粒子の世界

137億年という宇宙の歴史に比べれば、人類の歴史はとるに足らないものです。そして一人の人間の人生はほんの一瞬に過ぎません。その小さな存在である人間が、宇宙の始まりから今まで何が起こったのかを知ることができたというのは驚くべきことです。素粒子物理学は人類の知性を結集させて「神のパズル」に挑戦しています。

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先生情報 / 大学情報

九州大学 基幹教育院  教授 原田 恒司 先生

九州大学 基幹教育院 教授 原田 恒司 先生

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物理学

メッセージ

物理を暗記科目ととらえている人もいるようですが、そうではありません。物理の勉強は基本の理解が重要です。基本的な法則のことがよくわかればそれを用いていろいろなことを導きだし、たくさんのことを説明することができます。覚えることはむしろ少ないです。「どうして?」を追い求める物理の目で世界を見ると、今までと違ったものが見えてくるかもしれません。それを楽しむのが物理の世界です。基礎をしっかりと学び、楽しい物理の世界へと旅してみましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

九州大学に関心を持ったあなたは

九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。